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入らずの森 (祥伝社文庫)

入らずの森 (祥伝社文庫)

入らずの森 (祥伝社文庫)

作家
宇佐美まこと
出版社
祥伝社
発売日
2012-03-14
ISBN
9784396337438
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入らずの森 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー

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しんたろー

宇佐美さん10冊目。愛媛の山中を舞台に、中学教師・圭介、転校生・杏奈、Iターン農業者・松岡、三人を中心に展開する平家伝説が絡んだミステリタッチの物語。序盤は人物が錯綜し意味が判らないが、各々が段々と繋がる過程が面白く、終盤はサスペンスが大いに盛り上がる。過去の殺人や伝説を粘菌の生態と絡め、いかにもありそうな物語に仕上げているのでゾッとする。安易に田舎生活に憧れる者への皮肉を込め、様々な心の闇をテーマにしているので、共感できる事も多かった。ホラー色が増して、圭介が活躍するラストも手に汗握る楽しさだった。

2020/05/17

nobby

「人は死んでも念は残るのじゃぞな」それが生みだす狂気や憎悪が、疵を抱える人々に絡みつく媒体の正体は…いやはや、これ程までに前半と後半で印象の変わる作品も珍しいが、総じての評価はお見事!3~4人の視点で描かれ出す序盤は、時系列や事象がなかなか噛み合わない様子に何となく読むばかり…平家落人の怨念なんて混ぜてあるから尚困惑(笑)それが気付けば最初から意味深に登場していた粘菌や廃校なんてワードが完璧なまでに繋がる終盤は圧巻。宇佐美さんならではの残虐から、超常現象に因りながらも人間味を忘れないラストは嫌いではない。

2019/09/14

あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

宇佐美さんのホラーミステリーって感じの作品。閉塞的な山村の蓋をされた遠い歴史の謎を手繰り寄せ、その不穏な何かが次第に明らかになっていく過程で、ぞわぞわ感の高まりを楽しむことができました。憎しみ、恨みといった人間の負の感情がもたらすもの…良くも悪くも深い森の持つその神秘性に浸ることのできた作品です。

2022/07/23

いつでも母さん

文庫カバーに惹きつけられて。以前なら絶対に手を出してはいない作品だが・・死んだ骸の上に咲いた千紫万紅の花ー先生、ダメだよ。一人で入らないで!この町にはびこる閉塞感とぞわぞわ感。プロローグの意味が終盤に来て分かって怖い。土着の民やら平家の落人伝説、自然界にある人智を超えた不思議なことが上手く絡ませてあって、途中でやめられない。人間の『負』のエネルギーのなんとすさまじい事よ。死んでも念は残るのだーそれは忘れ去られた頃にまた蘇る。恨んだり復讐するのは人間だけだから・・私も誰かに見られているのだろうか。

2017/02/19

かみぶくろ

まず「夜中に一人で読まないでください」的な帯つけて売るのやめよう祥伝社さん。そういうインパクト系勢いホラーじゃなく、かなり良質な生物学ホラーなんだから、堂々と売ろう。文章も構成も実力作家な感じだったし、なにより貴志祐介さんを彷彿とさせる生物学的薀蓄ぶりは訴求力高し。思ってたのとは違ったけど、思ったより良かった、的な作品だった。あ、あと表紙もなんとかしよう祥伝社さん。

2017/06/27

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