KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

しんきらり 全 (ちくま文庫 や 4-1)

しんきらり 全 (ちくま文庫 や 4-1)

しんきらり 全 (ちくま文庫 や 4-1)

作家
やまだ紫
出版社
筑摩書房
発売日
1988-03-01
ISBN
9784480022219
amazonで購入する

しんきらり 全 (ちくま文庫 や 4-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

seacalf

上西充子さんの本で紹介されていて、ずっと気になっていた作品。もう40年まえの作品なのにまったく色褪せてない。シンプルで綺麗な線なのも読みやすい一因。何よりも、主婦、母、女性の内面を掬い上げて表現するのがすごく上手い。提示されるテーマはけっこう重いはずなのに、それでいて重苦しさを感じさせないし、ユーモアがある女性として描かれているので魅力的。自分は子もいないし夫側の人間だが、それでも非常に興味深く読むことが出来た。ちくま文庫で気軽に読めるのがありがたい。いつかまた家族が増えたら、ふとした時に再読したい。

2021/02/08

ねこさん

きっと感受性の強い人は、小さな変化の中に言葉にならない愛おしさをいつも見つけている。けれどそれは、必ずしも幸福と繋がってはいない。いつからか請け負った報いのような、ままならない授受に感情を絡めとられて、むしろなにものにも変換できない寂しさや焦燥に晒され、齢を重ね、生活を冷たく固定してしまう。失ったもの、失うかもしれないもの、そして得られなかったもの。ていねいに生きるために、いつも誰かに知られていること、小さな笑みを交わすこと、ただそれだけを必要とするささやかな才能が、いつもどこかでないがしろにされている。

2018/06/22

マリリン

こんな時代も僅かだがあったと、思い出しながら読んだ。<過>はいつも思いの内側に隠れて...ゾクッとする言葉だ。更に奥にあるのは移り行く時の中で動けない不安だったのかもしれない。外に出たのは自分の存在を確かなものにしたかったからか。河野裕子の詩「菜の花」畑が当時の不安を蘇らせた。まるで呪縛のように、女は結婚して子供を産まないと幸せではないと言われ続けてきたが、それは全ての人に当てはまるものではないと。時間は取り戻せないけれど。

2018/07/17

ぶんぶん

【再々再読】またまた、手にしてしまった。 本棚を見て「しんきらり」かと、手を伸ばしてしまった。 しかし、女性の感性というのは「変らない」物なんだと思う。 四〇年近く前に描いたとは思うない完成度、いつの時代も、考える人は考えているんだなあ。 家庭のひとコマが意外と怖い瞬間があると思わせる漫画。 ほんとに、こんな瞬間があるよね。 ゲラゲラと笑って読めない、身に抓まされる。 やまだ紫、鋭い観察眼の女流である、もう居ないのが淋しい・・・「性悪猫」も読んでみるか。

2021/09/08

ぶんぶん

【再再読】ふっと本棚に手を伸ばす。 主婦の眼から見た家庭像の在り方を考える。 ふっとした瞬間のきらめきが女性目線になっている。 多少怖い雰囲気がある。 しかし、漫画の世界でこの表現、1980年代に描いてたんだから凄い。 線もシンプルでサラッとしているのが好き。 日常生活の中の危うさをチクッと風刺しているのがまた凄い。 たまに手に取りたい一冊です。

2020/05/08

感想・レビューをもっと見る