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定価のない本

定価のない本

定価のない本

作家
門井慶喜
出版社
東京創元社
発売日
2019-09-20
ISBN
9784488028039
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定価のない本 / 感想・レビュー

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鉄之助

『銀河鉄道の父』『家康、江戸を建てる』の門井慶喜の新作だけに期待しすぎ、たかな? 神保町の書店主が、本に埋もれて圧死するミステリー仕立てで始まったが、謎解きにひねりがなく、ちょっとガッカリ。それでも、「古典は『のこる』ものじゃない。誰かが『のこす』ものなんだ」は心に響いた。明治維新や戦後の混乱期、大量の日本美術が海外に流出した歴史を紐解き、アメリカへ持ち出されようとした古典籍を守った書店主たちの意気に感動した。

2021/02/26

旅するランナー

古書店主が本に殺される。終戦から一年、神田神保町の古書店主が崩落した古書の山に押し潰されて死んだのだ。同業者の琴岡が、その死の謎を探っていく。GHQ、徳富蘇峰、太宰治まで関わって、思わぬ方向に展開していく。正直、ミステリーはどうでもよくなっていきます。それより、古本屋の人たちが、日本の歴史を守り抜く姿に心動かされます。日本人が本を愛し、古典を愛することで、この国そのものを立ち直らせる心意気を目撃しましょう。本当に眼福です。さあ、文化の爆弾を落としてやれ!

2019/10/09

紅はこべ

古書と古典籍の違いを知る。学校を出ていなくても、古典を読みこなせる庄治と、一応大卒でも、現代語すら読めない現総理副総理の差よ。津島修治くんの出演は作者の軽いお遊びですな。それにしてもこの設定どこまでフィクションなんだか。

2020/02/22

のぶ

タイトルの「定価のない本」って何だろうと思ったら古本の事だった。冒頭に芳松という男が本の下敷きで死んでしまうという事件が起こる。同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが・・。一見ミステリー仕立てに見えるが、本書はミステリーの要素は薄く、著者が描きたかったのは本のディープな世界だったと思う。時代は戦争末期から戦後直後。GHQの統制下で日本の書物はどんな歴史を歩み、どんな扱いを受けて来たか。古典から近代の著作まで多くの本が登場し、門井さんの書物に対する愛情が滲み出た作品だった。

2019/10/16

修一郎

GHQのWGIP政策の一環で天皇制に関する古典書籍がアメリカに流出しそうになり,それを神保町の古典籍商が守ろうとしたという逸話は歴史ゴコロを刺激される。題材が面白いんだからそこを描きこめばいいと思うのに,なんだかなぁの場違いミステリー要素いる? 門井さん小中学校の教科では歴史と言わず社会科と纏められてがっかりだとか,古文漢文不要論にちくりと反論したりと,持論が垣間見えてそこはまぁいいと思うんだけどもストーリー自体は散漫で薄味でした。古典文化流出の危機を救った神保町古典籍商の活躍,せっかくの題材なのになぁ。

2019/10/26

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