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銀色の国

銀色の国

銀色の国

作家
逸木裕
出版社
東京創元社
発売日
2020-05-29
ISBN
9784488028091
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「銀色の国」のおすすめレビュー

“死にたい少女”をつけ狙う罠。自殺の闇に挑む、衝撃のノンストップ・ミステリ

『銀色の国』(逸木裕/東京創元社)

 ノベルの語源は“新奇なもの”を意味するイタリア語・novellaであるという。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞したデビュー作『虹を待つ彼女』以来、先端テクノロジーと人間との関わりを描き続けてきた逸木裕氏は、まさに“新奇な”ミステリの紡ぎ手と呼ぶにふさわしい人材だろう。

 待望の新刊『銀色の国』(逸木裕/東京創元社)においても、近年話題のVR(ヴァーチャル・リアリティ)を正面から取りあげ、ページ上に現在の風景を鮮やかに浮かびあがらせている。

 あらすじを紹介しよう。主人公・田宮晃佑は、自殺志願者に救いの手を差し伸べるNPO法人〈レーテ〉の代表として奔走していた。ある日彼は、旧友の市川博之が自殺したと知り、ショックを受ける。人間関係にも健康状態にも問題がなかったという博之は、なぜホテルの屋上から身を投げたのか?

 晃佑は部屋に残されていたVR用のゴーグルと、博之の姉の証言から、自殺を誘発するゲームの存在を疑うようになる。調査を進める晃佑だったが、その行動は〈レーテ〉の他のスタッフとの間に亀裂を生んでゆく。

 一方、自傷行…

2020/5/30

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銀色の国 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

utinopoti27

『銀色の国』は、自殺志願者たちの自助グループを装い、甘美なワナに誘い込む虚構の世界だ。自殺対策NPO法人代表の田宮晃佑と、自殺願望を持つ外丸くるみ。物語は、彼らを軸とした二つのシナリオが交差しながら、テンポ良く進んでゆく。この世界を創り上げたのは何者か。そして二人は、仕組まれた最悪の事態を阻止できるのか・・。仮想空間が持つ、自己逃避の受け皿としての側面に着目しつつ、逸木氏は、現代社会が抱える『生きづらさ』を見事にあぶり出してみせる。重いテーマだけに、その先に仄見える希望が何とも心地良く響く作品だ。

2021/03/27

あおでん@やさどく管理人

人に寄り添うために、相手を促しつつ話を聞くことはもちろん大事。だが、真にその人を救うためには、その人の行動の良い点を見つけ出し、肯定してあげることが不可欠なのだ、ということを実感した。「自分を友達のように大切に扱えば、色々と上手くいく」という晃佑の言葉にもあるように、それは自分に対する態度でも同じなのだろうと思う。うまくいかなかった日でも、何か一つだけでも自分を肯定してあげるだけで変わることはありそう。

2020/08/25

シャコタンブルー

日本の自殺者数は年間約2万人。G7の中でも最悪の人数となっている。自殺願望はあっても、崖際で躊躇して立ち止まっている人も数多くいるだろう。しかし、その人達の背中を押して自殺するように仕向ける輩もいるのも事実だろう。ゴーグルで見るVRの世界はどこまでが現実でどこまでが仮想か判別がつかない程、進化している。だからその世界で自分の居場所や使命感があれば生き甲斐にもつながるかもしれないが、それが悪意によってマインドコントロールされると恐ろし結果になる事もある。某国のような国家がらみの洗脳にも繋がる恐怖を覚えた。

2020/07/09

カノコ

希死念慮を持つくるみは「銀色の国」というVRゲームに招待される。それは自殺願望を持つひとたちが集まるゲームだった。ゲームをプレイするくるみ、自殺防止に奔走する晃佑、謎の男に監禁された詩織。三つの視点から「銀色の国」の全貌が明らかになっていく構成に惹きこまれた。自殺に向かう細やかな心理描写に震えつつも、いのちを繋ぐ細い糸をなんとか断ち切らないようにする直向きなひとたちの姿が胸を打つ。死にたいと願うひとたちを生かすのは、果たして善なのだろうかと考えさせられた。それでも読後感は不思議と悪くない。とても良かった。

2020/07/10

よっち

自殺対策NPO法人の代表として日々奔走する晃佑のもとに届いた友人の自殺という悲報。元相談者の友人が今になって死を選んだ原因を調べるうちに、恐ろしい計画の一端に辿り着くミステリ。逃げたい衝動を抱える詩織が陥った罠、自傷行為を繰り返す浪人生のくるみ、そして自殺者の原因を探るうちに明らかになるVR「銀色の国」の存在。死を願う人々に忍び寄る常軌を逸した悪意と、影響されてありようを変えてしまった人々がいて、それを細い繋がりから活路を見出し、向き合い続けた晃佑の熱い想いが引き寄せた結末にはぐっと来るものがありました。

2020/06/22

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