KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

折鶴 (創元推理文庫)

折鶴 (創元推理文庫)

折鶴 (創元推理文庫)

作家
泡坂妻夫
出版社
東京創元社
発売日
2023-05-11
ISBN
9784488402273
amazonで購入する Kindle版を購入する

折鶴 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

タカギ

短編集。時代を感じる。古くさいかというとそうではないんだけど、やっぱり時代だと思う。職人の手仕事とか、男女間の愛情とか。「悪女の深情け」とか、いまは言わないよね。全体的に艶っぽくて、これも時代で、いまの作家の人たちがこういう話を書こうとすると官能小説になってしまうんじゃないかと思う。著者のセンスももちろんあるのだろうけど。『駈落』が良かったけど、“かけおち”じゃなくて“だらく”って読むのね。ふうん。

2024/04/25

おうつき

失われつつある職人の世界、男女の情愛、そして謎が繊細な筆致で描かれている短編集。この作品自体がもはや職人芸で、しっとりとその世界に浸ることができた。一番印象に残ったのは表題作である『折鶴』だが、個人的なベストは芸者と過去の殺人を描いた『忍火山恋唄』。

2024/03/19

だるま

泡坂さんの作品は何度も読み返したくなる。この度、『折鶴』が創元推理文庫に入ったので再読(文庫化は文春文庫が先)。中編2作と短編2作のノンシリーズ中短編集で、この作品集あたりから泡坂さんの作風が変化してくる。技巧を凝らしたミステリなのは相変わらずだが、男女の恋愛とか、その縺れとかを前面に打ち出した文学作品の様相を呈してきて、単純に泡坂さんのトリッキーな作品が好きだった私は、当時その変化を残念に思ったものだ。ただ、やはり歳をとってから読むと良さが分かってくるなあ。特に表題作はミステリ色が一番強くて面白かった。

2023/06/06

Ribes triste

新内語りから始まる中編「忍火山恋唄」。短編「駈落」と「角館にて」の男女の情愛と心の機微。自分の名前を騙る謎の男の出現で、思わぬ厄介事に巻き込まれる縫箔屋の物語、中編「折鶴」。作品の並びと流れも素晴らしく、思わずため息が出るほどに、泡坂さんの世界に酔いしれました。現代の価値観には見合わないのかもしれないが、人の情と矜持が胸をうつ本でした。

2023/05/21

しゅー

★★★相当に昔の小説なのだが、もともと発表当時でも絶滅危惧種であった職人たちが主人公なので不思議と古さを感じない。表題作の以下の言葉なんて今の時代にも痛切に響くんじゃなかろうか。「時代が進めば、きっと大勢の人が本物を欲しがるときがやって来る。手で作ったものの価値が尊ばれる時代がくる。そのとき、それを作る職人がいないじゃどうするんだね」失われいく日本の伝統的な手仕事への哀歌。もちろんかの泡坂妻夫なのでミステリ要素もあなどれないものがあるものの、この短編集に関しては端正な恋愛小説という趣きのほうが勝っていた。

2023/08/13

感想・レビューをもっと見る