魔女の冬: 冬の王3 (創元推理文庫)
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魔女の冬: 冬の王3 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
NAO
タタール軍とのクリコヴォの戦いという史実を盛り込んだ壮大なファンタジーの完結。家族のためルーシの人々のためにモスクワ大公軍を勝たせたい、さらには精霊たちの国も守りたいワーシャは、精霊たちの力を借りてタタール軍に挑む。孤軍奮闘のワーシャは確かに健気だが、ロシアウクライナ民話に登場する精霊たちを手玉に取るように動かすワーシャは、傲慢過ぎるようにも思うのだが。まあ、あの有名な老婆の血を引く魔女だから、仕方ないか?
2024/03/27
星落秋風五丈原
昔からいる神と、キリスト教との対立は、ソ連だけではなく、世界各国で見られた。しかし、遂には国王を破門できるまでになり、権力と結びついたキリスト教によって、古来からの神は駆逐される。そんな中で精霊の側に立つヒロインが、非主流に位置するのは自然な流れである。昔からいる神と、キリスト教との対立は、ソ連だけではなく、世界各国で見られた。しかし、遂には国王を破門できるまでになり、権力と結びついたキリスト教によって、古来からの神は駆逐される。一作目があまりぴんとこなかったのですが二作目からどんどん面白くなりました。
2024/04/24
りー
三部作の完結編。1380年のクリコヴォの戦いが出てくる。キプチャク・ハン国(チンギス・ハンの長男ジョチのウルス)vs弱小国家連合がキエフ大公ドミトリー・イワノヴィチのもとに集った連合軍。ロシア正教会も連合軍を庇護した。不思議なことに、「ルーシ」ではこの後もロシア革命に至るまで、正教会と旧き異教信仰が共存したらしい。アイルランドとよく似ている…そして日本とも。森と鳥と比売神と変若水(おちみず)信仰。現代アメリカ女子な主人公の性格には辟易したけれど、時代と世界観はたっぷり楽しませてもらった。
2023/11/13
しゃお
〈冬の王〉三部作完結編。いやー、良かった。久し振りに夢中になって読みふけったファンタジーでした。ファンタジーですが、史実に従って描かれる最後の戦いなど読み応え満点。文字通り傷だらけのワーシャ、本当に大人になったなぁとしみじみ。冬の王に対する想いと人間世界と家族への想いの間でより苦しい道を進む事を決意する姿。それはもの哀しくもある強さが。怪物でしかなかった熊がなんとも人間らしい言動を見せるのがどこか可愛くもあって好きになってしまったりも。そして何よりも可愛いのはソロヴェイとパジャールだったりもw
2024/02/11
慧の本箱
冬の王三部作の完結編。著者キャサリン・アーデンはこのファンタジーに史実であるクリコヴォの戦いをクライマックスに織り込むことで永遠のテーマである宗教的対立。利害の対立などの狭間で主人公ワーシャの愛と葛藤を浮き彫りにした。
2024/01/05
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