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海の乙女の惜しみなさ (エクス・リブリス)

海の乙女の惜しみなさ (エクス・リブリス)

海の乙女の惜しみなさ (エクス・リブリス)

作家
デニス・ジョンソン
藤井光
出版社
白水社
発売日
2019-05-01
ISBN
9784560090589
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海の乙女の惜しみなさ (エクス・リブリス) / 感想・レビュー

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ケイ

短編五つ。後半の三つは、作者の苦しさを体感するようでつらかった。喉から血を吐きながらのたうち回って叫び、こんなはずじゃなかったと頭を掻きむしる作者が、行間にいる。その行動故に、生に少しずつ背中を向けながらも、死に向かっている恐怖に怯え、死神を振り払おうとしているようだ。最初の『海の乙女の惜しみなさ』は、渇いた人生観が、諦観のようなものが、味わい深かった。2つ目の『…スターライト』では、一緒に死神に立ち向かおうじゃないかという気にさせてくれたのに。。。

2019/06/25

ヘラジカ

一作一作に込められた力がありありと伝わってくる。強力無比の傑作短篇集。これだけの作品を書くには相当に身も心も削らなければならなかったのではないか。遺作であると聞くとついそんなことを考えてしまう。どれも長篇小説に比するほど濃密。特に「ドッペルゲンガー、ポルターガイスト」はデリーロやピンチョンの大作を髣髴とさせる傑作だった。

2022/05/20

りつこ

初めて読んだデニス・ジョンソン。アルコール依存治療センターや刑務所暮らしという特異な状況の中でも、広告代理店を勤めあげたとしても、大学教師だとしても、満たされない気持ちや身の置き場のなさは同じで、そして死は誰にも平等に訪れる。乾いたユーモアはあるが描かれる死のイメージがあまりにリアルでぞくぞくっとするのだが、それは作者の夭折にも関係しているのではないか。奈落の底を覗き込みすぎたんじゃないか、そんな気がした。

2019/06/22

jahmatsu

またまたコレ最高。『ジーザス・サン』のカラッカラッに渇きった感じより、やや叙情的で死を感じさせつつ、より濃密。エルヴィス陰謀説ネタには、ゾクゾクさせられた。特に後半の2篇最高、一気読み。 白水社にデニス・ジョンソンの他の作品、翻訳化を切に願う。

2019/07/21

三柴ゆよし

渇いている。叙情が忍び入る余地もなく。あの伝説的な『ジーザス・サン』と比べてもそうなのだが、にもかかわらず、この短篇集には胸が引き裂かれそうな詩情が詰まっている。たとえば死について。それはとりたてて甘くも苦くもなく、いずれだれもがその領域に達するし、要するに足を踏み入れた深さのちがいがあるだけだ。私たちは老若男女の別なく、例外なく死にかけている。デニス・ジョンソンは明らかにかくのごとき達観から出発した作家だが、とはいえ、どう考えてもはやすぎる死、なにかをかけちがえたとしか思えない死のかたちはたしかにある。

2019/05/20

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