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四人の兵士

四人の兵士

四人の兵士

作家
ユベール・マンガレリ
田久保麻理
出版社
白水社
発売日
2008-07-24
ISBN
9784560092118
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四人の兵士 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

心に染み入るような静謐で美しい物語。ロシアの赤軍に参加した4人の若者の野営地での生活を淡々と描きながら、行間から深い哀しみが伝わってくる。戦争の残酷さをこれほど詩的に表現した物語は少ない。戦闘の場面が出てくるのはごくわずかで、それ以外は野営地での若者らしい生活が、陰影深く描かれる。彼らは必ず闘いに参加しなければならない。それを心に留めながら、日々を生きるときは、どんな些細なことであっても、輝いて見えるに違いない。実際に主人公のベニアが仲間たちに抱く親愛の情は、読んでいてほろりとした。結末は辛く悲しい。→

2017/11/19

キムチ27

佳作❕設定した・・とある時代背景は1919、しかもロシア赤軍での従軍の日々。日常といっても過酷極まる時間。だが綴られる文章が醸す世界は驚くほどに平和で穏やか。だがそれは彼らの何気ない精神力で作り上げられた虚構。あすは判らない4人の兵士。互いに氏素性を探ることなく「ちっぽけな喜び」を見出すことに時を紡ぐ。エヴァドキンの登場は画期的なくさびを打ち込んだ⇒文字❕記録を残す。。ラストに待ち受ける現実は昏い想いの余情で一杯にさせる。寓話ともつかぬ現実味のある文学。声高でないだけに文全体が散文的に胸に響く

2019/11/24

キキハル

つかの間の休息の日々。宝物のような沼の静けさ。無聊を慰めるサイコロ遊び。農家から搾取する食べ物。品薄の煙草。女の写真が入った時計。かけがえのない仲間・・・。退却途中のロシア赤軍の青年兵士四人と志願兵の少年の物語は、淡々とした文章が軽めで悲壮感もなく不思議に明るい。はしゃぐのも楽しむのも、出発までの仮初めの憩だと分かっていたのだろう。それでも読み終わってみれば、ラストのやるせなさや無力感が、ページに重く立ち込めているようだった。

2013/03/11

みねたか@

ロシア内戦。文字も読めない、まだ女性と一夜を共にしたこともない若者。そんな四人の赤軍兵士たちが、戦線に移動する前に過ごした、つかの間の満ち足りた日々を描く。戦闘に対する恐怖や、辛い長く厳しい冬の日々の悪夢。そんな一人で立ち向かうにはあまりにも辛い不安や記憶を抱える彼ら。だからこそ、思いを共にする仲間がそこにいる、それだけでどんなに救われ、光を見出せたことだろう。震えた背中にそっと毛布をかけるような優しさに満ちた世界が素晴らしい。そして、彼らのもとに配置された少年兵士のエピソードは、とりわけ切ない。

2018/02/04

miyu

まさにこの季節にこの本を手に取ることが出来た偶然に感謝。誤解を怖れずに言えば「プライベート・ライアン」よりも「シン・レッド・ライン」が好きな人に是非読んでいただきたい。あらすじを伝えることなど無意味で虚しいが、あの映画に感動した人なら、この「四人の兵士」にも心震えるのではないだろうか。耐え難く思い出したくもないであろう戦争の最中であろうと自然はそのままに存在しているし、人の感情や想いも根っこの部分では変わらない。しかし好む好まざるに関わらず、曲げねば生きていけない瞬間がある。パヴェルの決断に胸が痛んだ。

2014/08/16

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