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路地裏の子供たち

路地裏の子供たち

路地裏の子供たち

作家
スチュアート・ダイベック
柴田元幸
出版社
白水社
発売日
2019-04-23
ISBN
9784560096949
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路地裏の子供たち / 感想・レビュー

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ケイ

舞台は都会の一部の貧しい移民の街。貧しいのだろうが、飢えることも無く、みんななんとか生きている。逞しさは感じられず、しかし諦感があるわけでも無く、だがやはり希望もなく、そんな中で子供たちは生きている。友と会い、街を歩き、不思議な物と出会い、おかしな隣人と会話し…、そんなこんながたまらなく魅力的で、とても濃密な短編集。不具者も、病んだものも、みんな息をしている。『ザワークラウトスープ』ほとんど隠れているお店の、もしかしたら1杯で1年幸せになれるスープ。『見習い』叔父さんの想いが、将来強さになりますように。

2019/08/02

りつこ

「シカゴ育ち」を読んだのはもう20年前だったか。これはダイベックのデビュー作とのこと。短編集だが、問題を抱えた家庭の子供の話が多い。悪い方悪い方へと自ら進んで流れていったり、逃れてきたはずの故郷へ戻ってきたり、ドロップアウトした友だちを見捨てたり、あるいは見捨てられたり。違う国の話なのになぜか懐かしい。それもノスタルジックに浸るような懐かしさではなく、せっかく今まで忘れていたのにと原が立ってくるような懐かしさ。面白かったけどちょっと絶望。

2019/05/30

ソラ

街の裏側が見せる、汚れてくすんた色合いは、そこに生きる人間の行動にも現れてくる。時に猥雑で、どこかやけっぱちな野放図さをさらけ出し、自我を押し通す姿は、眉を顰めつつも、その命が持つ強さや傲慢さが、羨ましくもある。数々の物語は、悲劇を予感させながら、そこへ到達する手前で足踏みをするかのような危うさを孕んでおり、浮き出して来ない不安を、どこかに探しながら見つけられない。そして、いつの間にか現実と虚実が緩やかに入れ替わる。結末は明確ではなく、自分の見た風景も、少しの歪みを抱えたまま、色を無くして滲んで行く。

2019/06/23

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

シカゴの貧しい地域の子供達についての短編集。クオレやパール街とは全くちがう世界。豊かな社会の中の貧しい世界で、余裕のない大人たちの下で逃げたりうろついたり振り回されたりしながらも、群れて遊ぶ。小さな子どもは何とか大人の役に立とうと努力するし、少し大きくなると理不尽な親に反抗しながら身をすり減らしていくし、もっと大きくなると世の中の自分の立ち位置を知り絶望と闘う。自分の子供時代を思い出した。貧しくはなかったけど余裕はなく、いつも子どもで群れてたよ。楽しい事ばかりではなかった。

2020/01/22

あーびん

スチュアート・ダイベックのはじめての短編集。翻訳された柴田さんは自身の生まれ育った川崎を連想すると仰っていたが、そのシカゴの路地の風景は感傷にみちており、なんだか自分の子供時代の忘れかけていた記憶が呼び起こされる。子供の時の秘密の遊びや、日常のふとした瞬間にみえる暴力、性への無邪気な好奇心、死への圧倒的な恐れ。瑞々しく、すこしの痛みを伴う思い出の記録。

2019/10/26

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