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自由は死せず

自由は死せず

自由は死せず

作家
門井慶喜
出版社
双葉社
発売日
2019-11-20
ISBN
9784575242249
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「自由は死せず」のおすすめレビュー

寺子屋にも行かない悪童だった!? 教科書では教えてくれない板垣退助の生涯

 立派なあごひげ、「板垣死すとも自由は死せず」の名ゼリフ──板垣退助は、日本史の教科書に見る人物の中でも、とくに印象の強い政治家だ。しかし、教科書にある板垣についての記述は、「民撰議院設立建白書」を提出したとか、自由民権運動を指導したとか、その程度のものだったのでは?

 板垣の人となりについては、たとえば同じ時代に活躍した志士で、創作物も多い坂本龍馬などと比べ、知る機会が多くない。だが、教科書では英雄然としている板垣も、歴史小説の世界では、少年時代、釜でヒキガエルを煮てみたり、若い時分は農民にやりこめられたりと、愛すべきいたずら心や失敗のエピソードを持つ人物として描かれているのだ。

『自由は死せず』(門井慶喜/双葉社)

 そんな板垣の生涯を、『銀河鉄道の父』(講談社)で宮沢賢治を等身大の青年として描き出し、直木賞を受賞した作家・門井慶喜が描き切った。長編歴史小説『自由は死せず』(双葉社)である。

■父の虐待、不幸な家庭環境で寺子屋にもいかない悪童

 本作の主人公である板垣退助、幼名・乾猪之助は、土佐藩の上士の子として生まれた。ところが、彼の父は心を病んで…

2020/1/15

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自由は死せず / 感想・レビュー

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starbro

門井 慶喜は、新作中心に読んでいる作家です。板垣 退助は知っていますが、本人が主人公の小説は初めてです。暗殺されて死に際に「板垣死すとも自由は死せず」という名言を残したのだとばかり思っていたら、どうも創作のようですし、80歳台まで長生きしました。明治維新の他の偉人に比べ、政治家としての器は大きいと思いますが、坂本龍馬しかり西郷隆盛しかり、志半ばで死去した悲劇の偉人の方が人気があるのは解る気がします。

2020/01/24

ケイ

板垣退助について。この作家さんの維新ものは伊藤博文については面白く読んだが、こちらは出だしが似ているようでと惑った。歴史小説は、やっぱり司馬さんが好みかな。

2020/10/11

のぶ

本作はタイトルから分かる通り、板垣退助の生涯を記した歴史小説で、伝記的な要素もあるが、合わせて、幕末から明治維新への激動の変化を著した作品でもあった。この時代の本は過去に相当数読んでいるが、これほど詳細に政治的な史実が書かれたものは読んだことがなかった。そんな意味で非常に勉強になるし、登場人物は幕末の徳川将軍や天皇。新選組から坂本龍馬、明治に入っては伊藤博文、江藤新平他オールスターキャストが板垣退助との絡みが描かれている。とても長い作品だが、この時代に興味のある人にはお勧めです。

2019/12/15

あも

長かった。とてもとても長かった。喩えるなら雄大な山を、時折飛び立つ鳥の姿に目をやりながら日がな一日眺めているような心持ち。このタイトル一つで分かるキャラの立った人物・板垣退助。幕末…と言われた時に思い浮かぶのは新撰組など敗れし者達の滅びの美学や薩摩長州の志士らの苦難に立ち向かう姿。土佐藩の上士として産まれ、時流に乗り、会津を滅ぼし、更に普段描かれることのない維新後の政治が見れるのかとワクワクしたが、魅力も能力も伝わってこない主人公の感情の乗らない報告書を淡々と読まされる500ページの遙かなる旅路であった。

2020/02/07

hiro

板垣退助といえば、自由民権運動、板垣死すとも自由は死せず、昔の100円札の肖像が思い浮かぶが、それほど詳しく知らなかった。その生涯を2段組557頁で描いた作品だが、さすがに読み終えるまでは時間がかかった。同じ土佐出身の坂本龍馬と比べると、人気はそれほど高くはないかもしれないが、この本を読むと日本の政治に大きな影響を与えた人物であることもよくわかる。幕末についても、新選組や龍馬が主人公の小説を読んできたが、そこでは登場しない甲府や会津での戦いなどについも知ることができた。次は『東京、はじまる』へ進もう。

2021/01/16

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