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じい散歩 (双葉文庫 ふ 22-03)

じい散歩 (双葉文庫 ふ 22-03)

じい散歩 (双葉文庫 ふ 22-03)

作家
藤野千夜
出版社
双葉社
発売日
2023-08-08
ISBN
9784575526790
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じい散歩 (双葉文庫 ふ 22-03) / 感想・レビュー

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ショースケ

インパクトのある一冊だった。明石新平89歳、妻英子88歳。息子3人は未だ独身。毎朝決まった体操、食事のルーティーンをこなし、1人散歩に出かける。思うままに歩き、喫茶店に寄り、薯蕷饅頭を買って帰る。新平の日々は前途多難。妻は認知症、長男は引きこもり、次男はオネエになり、三男は借金まみれ。若き頃の新平の浮気を思い出し、毎朝『女のところに行くのだな』と老いた妻にネチネチ疑われながら家を出る。現代の話題性がてんこ盛りな一家だが、藤野氏は明るくユーモラスに新平の日常を描く。考えさせられ、そして楽しい読書だった。

2024/02/25

モルク

夫婦の年齢を合わせると180歳。夫婦のなれそめ、妻の姉の家に居候した新婚時代、会社を興し家も新築と家族の歴史が刻まれる。が、3人の息子たちは50歳近いがいずれも未婚、長男は引きこもり、次男はゲイ、三男は親に借金まみれで親に金の無心をするはで問題だらけ、さらに妻が認知症の気配で夫の浮気を疑うと追い打ちをかける。主人公のじいさんは散歩をしながら喫茶店やレストランで洋食をがっつり食べる。それがじいさんの至福の時間。普通でない家庭の普通の時間をコミカルに描く。今を楽しむじいさん。それっていいね。

2024/01/24

お昼寝猫

明石新平89歳、妻の英子88歳。3人の息子たちは50歳前後にして揃って独身。しかも引き篭もりとLGBTと借金まみれ。妻は認知症気味。絵に描いたような80-50問題の当事者だ。建設会社を興してそれなりに成功した新平だが老後の生活はあまり幸福ではないようだ。だが新平はへこたれてはいない。毎日のように散歩に出ては女性にちょっかいを出すエロ爺ぶりだ。当然妻には浮気を疑われている。多少の金銭的余裕があるからできるのだろう。しかし最後の場面では自らの人生への覚悟を示す。淡々とした描写ながらコミカルで味わい深い物語だ。

2024/02/03

セシルの夕陽

じいの散歩は本格的だ。昼前から出発し、途中で洋食をガッツリ食べる。そして建築物を見たり、芸術観賞した後、仕事場だった事務所へ。そこでもう一つの趣味のエロ収集を眺め、夕食に間に合うように帰宅する。明石新平89歳の生活と人生が、気になる。とにかく気になる(笑) 88歳の妻:英子は、新平の浮気を疑い認知症の兆しがある。3人のアラフィフ独身息子は、引きこもり・自称長女・アイドルオタク延長の仕事で借金まみれ。先行き不安な状況なのに、大らかでコミュ力凄い新平の日々は続くのだ。お茶目なじい物語を笑いながら読了😆

2024/01/07

niisun

藤野さんは『君のいた日々』に続き2冊目ですが今回も良かった。60歳前後を“アラ還”なんて言うから、この作品の主人公は“アラ卒”とでも呼ぶのかな?齢90歳のじいさんが、認知症が始まった妻や50歳独身の息子3人に囲まれた問題多めの家族の中で、ひとり散歩を楽しみに生きる日常を軽快に描いた作品。さすがは芥川賞、野間文芸新人賞の受賞作家だけに、何が起きるわけでもない日常を味わい深く描いています。私も散歩が大好きで、30代の頃は暇さえあれば、ひとり街を歩き、手頃な酒場で一杯引っかけていたのを懐かしく思い出しました。

2023/08/31

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