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沖晴くんの涙を殺して (双葉文庫 ぬ 04-01)

沖晴くんの涙を殺して (双葉文庫 ぬ 04-01)

沖晴くんの涙を殺して (双葉文庫 ぬ 04-01)

作家
額賀澪
出版社
双葉社
発売日
2023-10-11
ISBN
9784575526967
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沖晴くんの涙を殺して (双葉文庫 ぬ 04-01) / 感想・レビュー

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よっち

病気で余命一年の宣告を受けて教師を辞め故郷に戻ってきた桶場京香。そこで北の大津波で家族を喪い引っ越してきたという、笑うだけの不思議な高校生・志津川沖晴と出会う物語。常に微笑み、スポーツ万能で一度覚えたことは忘れず、驚異的な治癒力を持った沖晴が抱える秘密と孤独。感情を失った沖晴と余命のない京香の出会いをきっかけに、少しずつ沖晴が自らの感情を取り戻してゆく展開でしたけど、様々な想いを積み重ねた結末は残酷で、けれどその忘れられない思い出を胸に刻みながら、未来へと希望を見出してゆく姿がとても印象に残る物語でした。

2023/10/10

なみ

津波に呑まれたときに、死神から負の感情を奪われ、『喜び』だけが残された高校生の沖晴。 彼は余命1年の京香と出会い、1つずつ感情を取り戻していく。 少しずつ人間らしくなっていく沖晴と、死が迫ってくる京香の対比が印象的でした。 2人の関係性も素敵で、だからこそ離ればなれになってしまうことに胸が苦しくなりました。 ただ悲しいだけの話ではなく、読んだあとに前を向けるような、爽やかな作品です。

2023/11/05

ぽっぽ

いろんな要素がいっぱいの作品、難病物かと思いきやそう単純ではない。津波で家族を失い、笑う以外の感情を失った沖晴は、悲しみに押しつぶされないための自己防衛であったか。余命宣告された京香との触れ合いの中で、少しずつ失った感情を取り戻す過程には痛みも伴います。生と死の狭間で揺れ動き、積みあがっては壊れる心の描写が秀逸。期待以上の作品でした。

2024/04/26

NAOAMI

余命1年の京香が、震災で家族を喪った高校生男子と出会う。彼はネガティブな感情をも無くし、記憶力抜群・スポーツ万能のスーパー高校生。序盤はシリアス設定なのにコメディか。でも章ごとに震災の体験を辿り傷つくたびにネガティブな感情が戻ってくる。しかし彼にはそれをコントロールする術がない。京香の余命は確実に減っていく。普通の大人でも感情を抑制するのは難しいし、周囲が期待する行動を伴わないことも多々。内面をここまで深く知らなきゃ他人の行動なんて理解できないよな。「生」なる〆で彼の心が温かさに包まれた終わり方が程良き。

2023/12/02

ヨシ

今の私に必要な本に会えた喜びを、どう書いたら良いのだろう。沖晴は津波で家族が全員亡くなった中、死神に人間の悲しみ·怒り·嫌悪·怖れの感情を渡し、生き延びた高校生。喜び以外の感情をなくした沖晴が、余命1年の音楽教師の京香と出会いその感情を取り戻していく1年が、京香の亡くなった後の物語と交互に語られていく。マイナスの感情があるからこそ、次への一歩が踏み出せるのだ。今はこの心の痛みすら愛おしい。本の神様、私にこの本を届けてくれてありがとうございます。私も沖晴くんと一緒に、ちゃんと生きていきます。

2023/11/25

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