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日本推理作家協会賞受賞作全集 13 (双葉文庫 み 5-1)

日本推理作家協会賞受賞作全集 13 (双葉文庫 み 5-1)

日本推理作家協会賞受賞作全集 13 (双葉文庫 み 5-1)

作家
水上勉
出版社
双葉社
発売日
1995-11-01
ISBN
9784575658149
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日本推理作家協会賞受賞作全集 13 (双葉文庫 み 5-1) / 感想・レビュー

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yin

水俣病に苦しむ熊本を舞台としたミステリー。全編を通じて水俣病に切り込むルポルタージュ要素の比重が高いが、事件を追うミステリーとしても読み応えがある。殺人事件そのものは一応の解決を見せるも、肝心の公害問題については何ら解決していない終わり方で、作者のメッセージ性も強い一冊でした。

2023/09/28

rinrinkimkim

酒井42。水俣病を取り上げているので殺人事件も工場の秘密を知った二人が企業に。ってラストを予想してたけど全然違った。「女」が絡むとは、想定外でした。今では考えられないお医者さんが事件を解くというストーリーにもびっくりしたけど先生、大活躍です。もちろん暴動後の診察もしてるし。カラスに食べられちゃう死体や発病した方々の描写はゾクっとします。そしてその描写のジメジメ感こそが水上先生なんだよね~。

2022/10/26

星屑の仔

工場排水が原因とされる奇病があり、また大手会社間の非合法なやり取りもあり、そしてその裏に政治もある。しかし事件の核はそこじゃない。どんなに複雑で雑多な事物現象に塗れた今回の事件も、その中心にあるのは「人間の愛憎」という極めてシンプルな要素だ。奇病の問題だってそうだ。無機水銀だの有機水銀だの、町の雇用だの、会社の倫理観だの、責任だの、多くの要素が複雑に絡み合っているから解決しないのではない。そこにはシンプルに「人間の俗欲」があるのだ。それが無くらならない限り何も解決しないだろう。

2017/06/16

URYY

水俣に行き、その帰りに偶然手に入れて読む。『苦海浄土』よりも、その初稿の「奇病」よりも早い発表のもの。患者表象、〈漁民暴動〉の位置づけについて、考えるところはあったが、すぐには書くことができない。漁民暴動が、犯罪に利用されようとすること、漁民のため、患者の増加を防ぐための調査が、企業利益のために利用されるなど、単純な善悪の構図に収まらせないプロットについて、それを評価するためには、同時代言説との連関が不可欠だ。サスペンスゆえに、文体、語りの問題は問えず、そのプロットをどう読むか、が問題だ。

2012/11/14

rinichiro

私は驚いた。これは、白昼堂々と、大衆の面前で演ぜられている殺人事件ではないか。どこかに犯人がいるはずだ。(P.322)//誰か水俣湾の水銀汚染を、福島の放射能汚染に置き換えたパロディを書かないかなー。

2011/05/08

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