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シリアの戦争で、友だちが死んだ

シリアの戦争で、友だちが死んだ

シリアの戦争で、友だちが死んだ

作家
桜木 武史
武田一義
出版社
ポプラ社
発売日
2021-01-20
ISBN
9784591167014
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優しいドゥーマの人たち

 ぼくはドゥーマで、アパートを借りて過ごした。入居した翌日、とりあえず食料の買い出しのため、ぼくは外出することにした。しかし、ドアを開けた瞬間、銃声を耳にした。 「何だろう?」そう思いながら、もう一歩足をふみ出したところ、腹にずっしりとひびくような重低音が建物をゆらした。反射的にぼくは部屋に戻り、隅の方で息を殺した。外に出ないほうが良さそうだと直感した。  1時間経っても銃声は鳴りやむ気配がなかった。どうやら政府軍と、反体制派の自由シリア軍がたがいに銃を撃ちあっていることは想像がついた。こんな状況では買い物にも行けるはずがない。もちろん、引っ…

2021/2/1

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反体制派の町ドゥーマ

 2012年4月、ぼくはシリアの首都ダマスカスを離れ、ドゥーマという町に移った。そこは当時、ダマスカス周辺では唯一、政府の力がおよばない町として有名だった。数百人という少ない数でありながらも、「自由シリア軍」と呼ばれる武器をもった市民によって町は守られていた。ドゥーマでは反政府デモが堂々と行われ、市民の自由な発言が許されていた。秘密警察に逮捕される心配もない。  しかし、政府に批判的な住民や自由シリア軍をだまって見過ごすほどアサド政権は甘くなかった。政府軍は町を包囲し、ときに戦車や装甲車で市内に乗りこみ、自由シリア軍とはげしい戦闘をくり広げてい…

2021/1/31

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シリアの戦争で、友だちが死んだ / 感想・レビュー

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いちろく

『ペリリュー楽園のゲルニカ』の武田一義が描く表紙や挿絵等が気になり手にとった一冊。内紛が続くシリアの戦場を取材したジャーナリスト桜木武史のノンフィクションモノ。読書中、以前テロリストに拉致されて捕虜になり政府交渉の恩恵もあり開放された日本人ジャーナリストが、帰国後また戦場に行こうとしたエピソードを思い出した(確か、国からの出国許可が降りず)。著者から受けた戦場ジャーナリストの印象は、戦地へ赴くのは本人の使命感。ラスト付近、トルコへ避難したシリア難民の「報道よりも支援を!」というセリフが特に刺さった。

2021/05/09

たまきら

父親が新聞記者だった自分は、報道に携わる人たちを尊敬しています。今年のノーベル平和賞が報道関係者に与えられたことは、本当に納得がいきました。ただ、感情を書き綴る文章は報道ではなく、エッセイだとも感じます。もちろんこの著者の署名記事を読んだことがないのでなんとも言えませんが、彼の立ち位置が良くわからず、読みながら混乱しました。マンガがとても上手にまとめてあり、シリアの現状のややこしさがわかる図がありがたかったです。同時にアレッポのキャットマンの活動の素晴らしさに改めて感じ入りました。

2021/10/26

kana

緊張しながら一気に読んだ。ページを捲る手が止まらなかった。止めてしまったら駄目だと反射的に身体が動いた。それぞれが自分の立場から闘っている。こんなに優しい人がどうして、どうしてと、苦しくなる。ニュースで報じられる犠牲者数だけでは分からないことをジャーナリストの武田さんは伝えてくれた。

2021/03/14

こぺたろう

読了。「ペリリュー 」著者による漫画かと勝手に思っていましたが、文字主体の本でした。とは言え、文章は平易で読みやすい。内容は軽いものではないですが、幅広い方に読んでもらえるように仕立てられているように感じました。

2023/11/18

La Principita

若年層にも読み易くシリア内戦に従軍した経験を描く。少し前に読んだ「膠着するシリア」では、米国、ロシア、トルコなどが駆け引きをする様が描かれていたのに対し、こちらは市民の側から語られる。著者が敢えてへなちょこぶりを晒すことで、内戦への目線を身近に感じる。爆撃の中でお茶を振る舞ってくれる店主、攻撃に晒されながらも登校する子ども達。さらに描かれるのは戦闘員や反政府テロリストではなく、ハーリド、ファラズダックという個々のシリア人の姿である。彼らにとってファラズダックの死がムダではなかったという日が来るのだろうか

2023/03/11

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