はじまりの空 新装版 (ポプラ文庫ピュアフル に 1-6)
「はじまりの空 新装版 (ポプラ文庫ピュアフル に 1-6)」のおすすめレビュー
どのキャラクターに感情移入するかで、小説の印象が大きく変わる! 17歳と34歳の恋を描く、究極の恋愛小説『はじまりの空』
『はじまりの空』(楡井亜木子/ポプラ社)
恋はするものではなく落ちるもので、コントロールなんてできやしないのだと思い出させてくれる小説『はじまりの空』(楡井亜木子/ポプラ社)。結婚する姉の婚約者家族との食事会で、高校2年生の真菜が出会った、年齢が倍もちがう34歳の蓮。小さな画廊で働く彼に、美術展のチケットをもらったことから交流の始まった2人の恋愛小説である。
どのキャラクターに感情移入するかで、この小説の印象はずいぶん変わるだろう。もちろんほとんどの読者は真菜の視点で読むだろうし、彼女の揺れ動く想いの甘酸っぱさに悶えるはずだ。真菜の彼氏・真治も、男子高生のわりに人間ができていて、一人の時間を尊重してくれるし、趣味が合わなくても否定しない、非の打ちどころのない男子だ。けれど、簡単には心のうちを開いてくれなくて、秘密めいた雰囲気を漂わせながらも常に紳士的な蓮にキュンとしてしまうのもわかる。蓮の働く画廊のオーナーで、蓮の先輩の元妻だという伽歩子の思わせぶりな態度にモヤモヤしつつ、美しく色気のある彼女と比較して自分が子どもであることを思い知らされる真菜の…
2021/5/13
全文を読むおすすめレビューをもっと見る