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遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

作家
フランコ・モレッティ
秋草 俊一郎
今井亮一
落合 一樹
高橋 知之
出版社
みすず書房
発売日
2016-06-11
ISBN
9784622079729
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遠読――〈世界文学システム〉への挑戦 / 感想・レビュー

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袖崎いたる

小説が読者に現れるのは「読む」という近景においてでしかない。これまでの文学研究はその近景体験を踏まえた上での定性分析であり、読まれていない無数の小説を切り捨て、読まれるに値する少数の小説を俎上に乗せてきた。それに対して著者は敢えて「読まない」定量分析をする。そして形態分析、即ち「精読なきフォルマリズム」つまり「遠読」。しかしまだ手探りの段階であり、この著作から読み取れるものはまだ偉大な発見よりも多様な可能性というレベルであるように思われた。とはいえ村上春樹的な「時の試練に耐える小説」の定量的検討は甲斐有。

2016/09/13

konomichi

何度も挫折して、今回ようやく読了。文学史研究者による世界文学をシステムとして捉え、データ分析を取り入れた永年の研究路程。この分野に素養が皆無で前半は辛かったが後半は面白い。文学史にダーウィンの進化論を取り込んで、文学史に残った作品と消えた作品を比較したり、文学素養がなくても楽しめる。今後の研究に期待したいが、その前に本著の前著、『グラフ、地図、樹』の邦訳をはよ。

2017/05/14

へんかんへん

物語の図式化が面白い

2017/11/29

Nobody1

文学史、そして世界文学へのアプローチとして出現した「遠読」という方法論は、計量的アプローチを取り込み発展した。自分がこういう方法論を取るかどうかはともかく、モレッティがしていることは面白いし意義のあることだと思う。遠読と精読が両輪のように絡み合いながら文学の世界が豊かになっていけばよいと思う。

2017/09/05

鵐窟庵

本書では、各国の文学における共時的・通時的な盛衰や流行の影響関係を〈世界文学システム〉として分析を試みている。著者が参照するのはウォーラーステインの近代世界システムと生物学における進化系統樹と構造主義である。文学の盛衰の中心と周縁の関係や、内容とは独立したプロットや手がかりによる流行の対決関係、一つの作品内での登場人物のネットワークなどの様々な視点から文学空間を論じている。それらは文学の形式、地理学、類型に世界的に普遍的な有機体的なシステムでもある。しかし、アジアの位置付けは付随的で不足感が見られた。

2018/12/31

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