質的社会調査の方法 -- 他者の合理性の理解社会学 (有斐閣ストゥディア)
質的社会調査の方法 -- 他者の合理性の理解社会学 (有斐閣ストゥディア) / 感想・レビュー
ケー
質的な調査の中でも「フィールドワーク(丸山)」「参与観察(石岡)」「生活史(岸)」の三つに焦点を当て、その技法を著者の経験を踏まえながら語ってゆく。大学時代の専攻が近接分野の民俗学なのでなんとなく懐かしさも覚えながら読了。個人的に一度やってみたいのは「生活史」。一回自分のばあちゃんでそれっぽいことはやってみたけれど、確かにこれってとても魅力的。人口が年々減っている自治体に昔は映画館やボーリング場があったなんて驚きの話も聞けたりする。いつか自分の興味にあった聞き取りをやってみたら楽しいだろうなと思う。
2020/05/28
テツ
正直なところ社会学という学問についてはかなり懐疑的なのだけれど(それの第一人者とされている方々が総じてぼくの好みとは合わないので)フィールドワークについてのあれこれや、自分のそれとは根源から異なっている他者の価値観や合理性とどう対峙していくかというお話はとても興味深く面白かったです。他者に対する想像も理解(したつもりになる)も大切だ。それはそう思う。でも社会を構築する上ではどうしたって切り捨てなければならない部分って存在するわけで、そこをどう考えていくのかって群れを成すぼくたちの永遠のテーマだよなあ。
2023/02/01
二人娘の父
岸先生を通じて社会学を知った自分にとって、必ず読むべきだった教科書。「同化と他者化」で展開されていた桜井厚の批判なども、理解できるようになった(気がする)。フィールドワーク、参与観察、生活史聞き取り。この三つのノウハウは、私が仕事で他者と接して理解する際に、非常に役立つものでもある。大いに学んでいきたい。次は「街の人生」へと進むのである。
2021/05/27
やまやま
人から聞き取りを行うことについてのノウハウが丁寧に述べられています。聞き取り初心者に向けてのものですが、社会学的な取材に限らず、他人の日常行動の理解を助けます。人の話はできれば勝手に話してくれるものを聞くのが一番で、むしろそういう舞台を上手に作ることはコツの一つであろうと感じました。調査は暴力的な側面を持つという点、またモノの書き手はその葛藤を抱えながら自己実現(表現)を図るということも共感できるところです。取材でのハラスメントや相手にどうしても共感できない場合の例、またその解釈も興味深いです。
2021/01/20
かつどん
質的社会調査も量的社会調査も、突き詰めると境界線が難しいようなのですが…それでもあえて言いますと、調査する対象の心的な核心に迫るのが質的調査ではないでしょうか。 それも、一回深く調査して(聞き取り調査なら聞き取って)わかるようなことでなく、何度も調査して新たな疑問が生まれたり、調査の抜けを見つけたりして、また聞いて、疑問が生まれて…というように探して探して、やっと見えてくるようなもの…というような印象を受けました。相手に寄り添うとは、こういうことなのかな、という姿勢も学べました!
2017/05/28
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