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文にあたる

文にあたる

文にあたる

作家
牟田都子
出版社
亜紀書房
発売日
2022-08-10
ISBN
9784750517544
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「文にあたる」のおすすめレビュー

ダ・ヴィンチ編集部が選んだ「今月のプラチナ本」は、牟田都子『文にあたる』

『文にあたる』

●あらすじ● 「散りばめる」は「鏤める」、「例え」は「仮令」、「言えども」は「雖も」、「笑い者」は「笑い物」……日常的に使っている言葉も、実は間違っているかもしれない。「疑う力」を求められる、根気のいる校正という仕事。それでも「誰かにとってはかけがえのない一冊である」との思いを胸に、丹念に原稿と向き合う。人気校正者・牟田都子さんが、書物への想い、言葉との向き合い方、仕事に対する意識について、思いのたけを綴った一冊。

むた・さとこ●1977年、東京都生まれ。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務。2018年よりフリーランスの校正者に。関わった本に『ブスの自信の持ち方』(山崎ナオコーラ 誠文堂新光社)、『家族』(村井理子 亜紀書房)、『はじめての利他学』(若松英輔 NHK出版)など。『本を贈る』(三輪舎)では著者の一人であり、校正も務めている。

牟田都子亜紀書房 1760円(税込) 写真=首藤幹夫

編集部寸評  

読書の秋のスタートダッシュに 本はどのように生まれるのか? サイコロを振り出すのは書き手や編集者だったとしても、ベースに…

2022/10/6

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文にあたる / 感想・レビュー

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けんとまん1007

校正という仕事は、表面上は想像できるが、遥かにそれを凌ぐ広がりと奥深さを感じとれる。常日頃、何気なく本を読んでいるが、確かに、誤字を発見することもある。しかし、それ以上に、事実に即しているのかということも大きなこと。そこに気づくというか、確かめてみようというアンテナが凄い。そして、何よりも、一つ一つの文章・言葉に対する姿勢が素晴らしい。こんな感じで、いろいろな文章・言葉に接していきたいと切に思う。

2022/12/28

へくとぱすかる

仲間うちに配る冊子の、タイピングと校正を引き受けたことがある。有名な言葉を誤って引用していると判断して、訂正して印刷に回したら、「あれは自分なりに配慮した変更で」と後から言われ、しまった! と思ったが、あとの祭り。校正とは、文法や誤字の訂正などより、はるかに範囲の広い仕事であることをこの本で知って、改めてかつてのミスを思い出す。冒頭の話にあるように、ミスを正すのではなく、指摘するのだと。「ペーパームーン」の例も、その通りだと偶然知っているが、もし知らなかったら実際に映画を見るしかない。大変なことである。

2022/12/12

アキ

普段、本を読んでいて、「この本の校正は素晴らしかった」と言うことはない。しかし、その本を最も精読しているのは、翻訳者か校正を行った担当者だろう。ベテランの校正者によると「校正に向いていると思っている人こそ向いていない」という。その技術とは思い込みや先入観をいかに排するかである。年間7万点の本を3千社前後の出版社が刊行しているが、校正・校閲専門部署があるのはごく一部らしい。誤植があったら、「誤植の裏にどんな事情があったのかを想像する」ことが大人の読み方なのだと思う。因みに本書の校正は谷内麻恵さんだそうです。

2022/10/25

Kanonlicht

パンダのしっぽが白いという確証を探して、動物園のサイトを検索し、それでもまだ確実ではないと、図書館で図鑑をあさる。レシピ本に書かれた材料や切り方で本当にその料理が作れるかを真剣に検討する。ただ誤字脱字を探すだけではない校正という仕事の奥深さを知った。間違いを「拾う」ために校正者に求められるのは、まず「疑う」こと。たとえ作家の意図な言い回しだと思ったとしても、疑問が残るものは勇気を持って鉛筆で指摘を書き込む。出版において校正という仕事がいかに大切か。これから本を読むときは感謝して読みたいと思う。

2022/12/09

夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

校正家の牟田さんが校正・校閲の実際をリアルに語っています。具体的な正した例や迷った例を挙げていて校正の奥深さを知ることができます。例えば「聴こえる」。ケースバイケースで「聞こえる」と「聴こえる」は使い分けしそうですが辞書には「聴こえる」は誤用とあります。「聴く」はOKですが「聴こえる」はないのです。そして校正の難しさは誤植の無い100点満点が基本というところにあります。つまり、最低ラインが100点なのです。校正は「常に失敗している仕事」です。

2022/09/04

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