文庫 絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ: 文豪の名言対決 (草思社文庫 か 6-1)
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「文庫 絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ: 文豪の名言対決 (草思社文庫 か 6-1)」のおすすめレビュー
文学界を代表する、絶望名人カフカと希望名人ゲーテの対話がおもしろい!
『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』(頭木弘樹:編訳/草思社)
失恋ソング、応援ソング、どちらにも良さがある。同様に、絶望の言葉も希望の言葉も、どちらも人を癒し、勇気づける。
世に名言集は数あれど、本書ほど、絶望と希望という「言葉の絶妙な陰陽バランス」が味わえる本はない。それが『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』(頭木弘樹:編訳/草思社)だ。
2014年に飛鳥新社から刊行された『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』を改題し、大幅に加筆改訂して文庫化された本書に登場するのは、古今東西の文学界を代表する陰キャ(ネガティブなキャラクター)のフランツ・カフカ(1883~1924年)と、陽キャ(ポジティブなキャラクター)代表、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749~1832年)の遺した言葉である。
秀逸なのは、構成と言葉のチョイスだ。同じテーマについての2人の言葉を並べることで、その対比がダイレクトに感じられるよう、見開きごとに、ゲーテとカフカが配置されている。1ページに言葉。もう片ページには、編訳者である頭木氏が、その言葉が生まれた背景を解説し…
2018/7/2
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文庫 絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ: 文豪の名言対決 (草思社文庫 か 6-1) / 感想・レビュー
アナーキー靴下
これは素晴らしくて誰も彼もにお薦めしたい本! 希望と絶望、余りに極端な対比に思わず大爆笑の面白本としても良し、文豪二人の人となりを知る蘊蓄本としても良し、浮世に惑い千々に乱れる心に一筋の光明、な座右の書としても良し。編者は納得の頭木弘樹氏。「ゲーテに惹かれているんだろう? 君なら大丈夫、心のままに歩きだしたらいい。いつ引き返したっていいんだ、僕はずっとここにいるから」そんなカフカの声が聞こえてきそうな優しさが詰まっている。メフィストフェレスが魅力的なのは、ゲーテが生きることを楽しんでいたからなんだろうな。
2021/06/17
けやき
ゲーテの希望に満ちた名言とカフカの絶望に打ちひしがれた名言を同じようなテーマにそって対比して紹介している本。両者のキャラの違いが面白い作品です。
2021/08/29
なる
かたや希望にあふれた作風を多く残したゲーテ、かたや絶望に浸された作品を多く残したカフカ、全く異なる二人には境遇にとても似ているところがある、という視点から、テーマに則って二人の小説や書簡・日記に残した言葉を比較する。荒野を切り開いたゲーテはやはりマチズモの片鱗があるし、その百年後くらいに作家活動をしたカフカは似た境遇を持つ先人を意識したのは想像に難くない。自己啓発本にありがちなゲーテの言葉と遺書になりがちなカフカの言葉。どちらに親しみがあるかは読み手のその時の境遇にもよるかもしれない。後半は胸にくる。
2021/09/29
かさお
最高です✨この本を創ってくれた頭木さん、貴方は天才です✨絶対年内にカフカの小説を読みます。よくぞこんな対談を思いついてくれた!目次を読み返すだけで、すげーな、とその出来栄えに感嘆する。カフカの虜になりました。後ろ向きすぎて笑えるんだけど、本人は大真面目なんだから申し訳ないんだけど、対比が極端すぎて何度も吹き出すし、どっちやねん!?と何度もツッコむし、頭木さんの解説の文章もウェットに富んでて端的で相乗効果。カフカは繊細で優しくて文才もあり、手紙や作品を戦時中に命がけで守り出版してくれた親友や恋人もいるのに→
2022/05/01
たまきら
うわあ、これは面白い!まずは編集をされた方の作家の文章への深い理解と索引力にただただリスペクト。このモヤモヤした時代に絶望と希望を並べ、受け取る人間がどちらの言葉からも学べるようにしてくれているこの演出力!カフカのページはグレーで、他の部分は少し気味が感じられる紙なところも楽しい。どこからでも読め、エンタテインメントしても成功している非常に面白い文学紹介本です。
2021/09/28
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