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記憶のつくり方

記憶のつくり方

記憶のつくり方

作家
長田弘
出版社
晶文社
発売日
1998-01-20
ISBN
9784794935311
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記憶のつくり方 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

現代の日本で私が一番好きな詩人の散文詩集。長田さんの詩の言葉は、この世界と自分のつながりをもう一度新しいものにしてくれる。ジャングル・ジム、階段、おにぎりといったありふれたものがテーマになることが多いけれど、長田さんの詩を読むとありふれたものが独自の輝きを持っていて、自分の生活や人生の一部を形作っている、かけがいのないものであることが分かるようになる。装丁も美しく、目に優しい緑色の活字も気に入った。「深呼吸の必要」と同じように宝物の一つにしたい。

2014/12/05

新地学@児童書病発動中

詩は韻文で小説の散文とは大きく異なっている。小説の散文は良い意味で親しみやすいのだが、俗っぽくなる危険性を秘めている。逆に詩の韻文は地に足がつかないものになりやすい。あまりにも現実の世界から離れ過ぎて、訳が分からないものになってしまいがちだ。長田さんの詩は限りなく散文に近づきながら、詩としての美点を捨てていない。リズムとくっきりとしたイメージがある。散文に近いので分かりやすいし、多くの人の心に届く言葉だ。この詩集を読んで、袋小路に陥っている日本の現代詩と逆の方向に歩み続けた長田さんの勇気を感じた。

2016/10/29

けんとまん1007

詩人の言葉、特に、長田弘さんの言葉は、じんわりと心に沁みる。平易な言葉だけで紡がれているにも関わらず、広がりと深みが素晴らしい。散文であり、詩でもある。記憶・・・想い出。いろいろ、想い出す。あとがきを読んで、記憶ということの意味が改めて考える。不定期ではあるが、長田弘さんの文章に触れたくなるのは、何故なんだろう。。。

2022/03/22

wildchild@月と猫

長田さんの選ぶ言葉は、シンプルで、綺麗で、つい声に出して読みたくなる。大地に水が浸み込むように、彼の言葉と彼の紡ぐ世界のイメージが、胸の中に自然と浸み込んでいく。だから読んでいてとても心地良い。私の記憶にも、彼の作品を大切に刻み込みたいと願う。「真暗闇というのは、つくられた白い光に慣れた目が、突然その光を断たれたとき、とっさにつかんでしまう偽の感覚である。闇は、ほんとうは明るいものだ。仄明るいものなのだ。」

2015/03/07

キラ@道北民

詩文集。「記憶は、過去のものではなく、じぶんのうちにとどまって、現在の土壌となってきたもの。」という長田さんが、言葉を摘んで忘れたくないことだけを誌した本。数字の物語や雨の物語は、何度も魅入ってしまう。「階段」、「自分の時間へ」では共感することが多い。自分を明るくし、活かされたきた記憶を、私も多く留めていきたいと思う。

2017/12/09

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