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左ききの女 (新しいドイツの文学シリーズ 4)

左ききの女 (新しいドイツの文学シリーズ 4)

左ききの女 (新しいドイツの文学シリーズ 4)

作家
ペーター・ハントケ
池田香代子
出版社
同学社
発売日
1989-11-01
ISBN
9784810202038
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左ききの女 (新しいドイツの文学シリーズ 4) / 感想・レビュー

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nobi

裕福とは言えないにしても大都市郊外ベッドタウンの、名の通った会社の販売部長の夫と八つになる息子との不自由なく見える生活。その女のこわばった孤独感が堰を切ったような行動は、積年の怨念を晴らすようにも決然とした意思を示したようにも見える。今の生活は断ち切ったもののそれに変わる生き方が見えない。その精神錯乱的焦燥感。そんな状況と一見ちぐはぐな柔らかい文体は女へのシンパシーを募らせる。その冷え切った心は、父を介して息子を介して融解してゆき、相手を気遣った、でも殆ど自問自答のような、少し無骨な語りかけが心に沁みる。

2019/04/17

Vakira

世界中の左利きの人の割合は10%。日本は世界と比較すると若干多く11%、アメリカでは2%と低いらしい。女性の左利きの割合は男性の約半分ってことで、日本の左利き女性の割合は2.7%。ペーターさんの地元オーストリアでも女性の左利きの割合は低いのだろう。貴重な女性?左利きの方はニュートンとかアインシュタインとか天才肌の方が多い。左利きの女 マリアンネ 天才肌で貴重な存在。マリアンネを取り巻く4人の男性。既婚者なのにモテます。出版会社の社長、無職のイケメン俳優、夫、息子。その愛情表現は様々。

2020/08/05

妻「私を独りにして」夫「もうこれっきり、ずっと?」妻「解らないわ」という会話をきっかけに、夫婦は別居し始める。理由は語られない。夫は、妻の女友達の家に住ませてもらう。その理由も分からない。続きが気になっても、すぐ場面が変わってしまう。主人公の妻も含め、登場人物全員が何を考えているのか分からない。会話の内容もちょっと変。結局、最初から最後までよく分からなかった。登場人物全員、孤独であるということ以外は。

2020/01/16

ぞしま

この本は本当に素晴らしかったです。自分の人生の一つの重要なテーマである孤独、その在り方を、また違った形で提示してくれたように思う。孤独につきまとうイメジは人それぞれ、ややもするとありふれている。それほどに氾濫している孤独の文脈、その中でここに書かれている様は、超絶としている、そして優しい、多分。それがとてもしっくりくるのだ。

2015/06/04

ぞしま

再読、旅路で。当たり前なのかもしれないが、初読ほどには心は震えなかったのが正直な感想。ここにある幼稚にも映る世界には、沢山の見えない(描かれない)感情があることに驚く。泣いているのか、笑っているのか、苦しいのか、楽しいのか、怒っているのか…雪は、一層視界を不明確にしているのだろうか?見えない…分からない…だからこそその折に私たちは孤独を想起せざるを得ないのではないだろうか、いくら超然としていても。そんなことを思った。

2016/02/14

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