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映画の戦後

映画の戦後

映画の戦後

作家
川本三郎
出版社
七つ森書館
発売日
2015-05-15
ISBN
9784822815325
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映画の戦後 / 感想・レビュー

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KAZOO

川本さんの評論はいつもながら、うなずかされる場面が多くあります。前半は日本映画、後半はアメリカ映画についての評論が中心です。特に高倉健や原節子などまたクリント・イーストウッドなどのついての論考はまさにそのとおりという感じです。クリント・イーストウッドなどについてはご自分の姿とダブラさせている気がしました。映画の評論の参考になります。

2015/11/15

Ecriture

邦画編と洋画編に分かれている。洋画の方では、1970年代・80年代のアメリカ映画を、ベトナム戦争からの撤退を通した家への回帰として整理している。1950年代的な家庭礼讃ではなく、「もはや家庭しかない」という消極的な態度で、アメリカは開拓時代の中西部、スモールタウン・アメリカを志向した。『スタンド・バイ・ミー』にて、不良グループと対決して家に帰っていく子供たちをベトナム戦争とその帰還兵に重ね合わせ、アメリカ史における幻想のスモールタウンへの希求を読みこむところはお見事。

2015/06/12

こっこ

★★★★☆ 本書は二部構成になっており、それぞれ日本とアメリカの大戦後の映画を論じているが、川本氏の「戦後」に対する拘りが窺えて興味深い。近著『物語の向こうに~』でも自身の感慨と共に述べている。「もしかしたら現代は、戦争直後の混乱期と重なってきているのかもしれない」と。「やくざ映画」に対しての考察も大変面白かった。「やくざ映画とは実はほとんどプロレタリア文学と同じ世界を描いている」成る程。「ハリウッドの赤狩り」も裏側の事実を知ると異なった様相が見えてくる。これも氏の浩瀚な知識に裏打ちされているのだろう。

2017/04/14

かふ

日本の戦後すぐに上映されたハリウッド映画は民主主義のPR役になったとか。その半面、日本の映画を検閲していたりした。日本映画では映画の舞台の当時の風景論とか面白い。アメリカの部ではハリウッドの赤狩りについて論じているのが興味深い。エリア・カザン論。エリア・カザンの密告を当時の置かれていた状況は、マッカーシーが底辺の人々の支持を得ていたこと、東部のインテリ層の反権力を恵まれた者たちの振る舞いと見ていたとか。それ以後のカザンの映画は陽気なハリウッドにはない暗さに惹かれるとか。密告者にこだわった『波止場』とか。

2015/09/20

yasubei

構成は大きく分けて日本映画とアメリカ映画の二本立て。 前半の日本映画では高倉健、菅原文太、高峰秀子、小津安二郎、山田洋次の魅力を語る事を通して、戦後という時代に残っていた戦争の傷を抱えた人間達がどう生きていたかや、戦後の経済成長を通じ残っていた過去の日本の風景がいかに映画の中に残っていったかを述べている。 後半はイーストウッドの比重が大きいが、自分が関心を寄せたのはエリア・カザンら所謂レッドパージによって共産主義者に対する訣別を行った監督達であり、山本おさむの「赤狩り」の風景がありありと目に浮かんだ。

2019/08/18

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