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月と幻想科学 (立東舎文庫)

月と幻想科学 (立東舎文庫)

月と幻想科学 (立東舎文庫)

作家
荒俣宏
松岡正剛
岡和田晃
出版社
立東舎
発売日
2016-02-19
ISBN
9784845627707
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月と幻想科学 (立東舎文庫) / 感想・レビュー

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コットン

1970年代にこんな本が出ていたんですね。文学(一部、映画・絵画・生物も)におけるルナティックワールドが語られている。松岡さんの言葉が面白い:「足穂の全作品は、『一千一秒』のために付された注であると言えなくもない。」そして、松岡正剛が選んだ月をめぐる100冊の本のラインナップが参考になる。この中に若干20か21のSF作家として紹介されている山尾悠子を期待できる新人だな…と←さすが松岡さんお目が高い!!

2016/06/19

へくとぱすかる

天体の月も、幸運のツキもいっしょにして、科学を味付けにした文学的談義を繰り広げ、その連想は果てることがない。太陽がテーマでないのは、ひたすらエネルギッシュなところが「ヤボ」なのだ、ということらしい。幻想を呼ぶ「月」的存在は、蒼い陰影を帯びて目立たずに潜んでいるが、雑学的に言葉につむいでいく、この対談自体が「月」をめぐってのひとつの作品なのだろう。

2016/02/22

鳩羽

碩学という硬い言い方があまりしっくりこないような、自由自在でルナティックな二人の対談イベントを本にしたもの。反射で光り、熱を持たず、満ち欠けし同じ姿を続けては見せない月を見続けてきた人類に、月に仮託される概念があるのではということに納得した。実体はないものなのに、そこからの影響はある。ツキや憑き、という言葉からもそのことは窺える。その幻想のようなフィクション性のようなものからの影響を、素直に受信している人がルナティックということなのかと思う。

2016/03/17

袖崎いたる

レヴィ=ストロースあたりが社会の熱さについて説いてたように、本書で荒俣さんは十九世紀以降の学知発想のインフラが<熱いもの>への指向に憑かれているのではないかと指摘する。ではそれに対蹠するものは何かという答えとして、月的なものが置かれる。それは冷えびえしていて、かつ世界を照らす力を有する冷光。この熱さは自意識にもいえる。自意識の熱さが行き着くのはどこまでいっても感情の共感でしかない、逆に冷えてしまえば、それは主語であっても自意識と呼ばなくてもいいような何者かになれる。さぁ、ポスト・フェストゥムのはじまりだ。

2016/12/28

犬養三千代

2016年2月発行。 解説で岡和田晃さんがこのお二人のことを「碩学」と表現しています。まさにそのとおり。 ノイバウアーが提唱した「アルス·コンビナトリア」という方法論に基づき対談は進む。 月を題材に縦横無尽に語られる二人の知識とその咀嚼力に驚いた。 科学にタッチ、思想にも、やはり最後の松岡正剛が選ぶ100冊には脱帽する。その中では松平定信の「花月草紙」泉鏡花の月夜遊女」を読みたいと思った。

2018/07/15

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