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合葬

合葬

合葬

作家
杉浦日向子
出版社
小池書院
発売日
2012-04-24
ISBN
9784862258243
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合葬 / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

大局を見失い論理的に破綻しているが血が騒ぐ。勇ましき弁舌に追随しただけの者も多い。それが若者だ。しかし、それでも立派に思えた。あまりに乱暴な維新という刷新。戦いはわずか6時間で決したという。妹を捨て参加した極を説得するため彰義隊屯所に足を運ぶうち官軍に包囲され出られなくなった悌二朗もなんとなく腹を括る。穏健派は内紛で去り強行派の元に残るは3分の一。童顔の若者が多かった理由の一つに長男以外は家督を継げない二男三男坊というまさに武家の仕来りが。なんとなくそうなったが運命を共にする行動はわかる。自分にもあった。

2021/11/15

ぼちぼちいこか

幕末、幕府崩壊とともに、薩長の勢力が江戸へ乗り込んできた。江戸は薩長の兵士たちに抗う勢力として彰義隊を歓迎する。その彰義隊に入隊するべく2人の男が向かう。この二人訳有で家に居場所がない。普通に暮らしていた男たちが戦争に巻き込まれる様が描かれている。杉浦日向子さんらしい、江戸にタイムスリップしたような感覚に陥る作品。

2020/11/03

ドナルド@灯れ松明の火

幕末から明治への過渡期に江戸の上野を舞台にした彰義隊を通して、杉浦さんの江戸時代への決別を描いた傑作。一気に読み、直ちに読み返し、そしてまた読んだ。この劇画の裏には変わってほしくなかった江戸、その江戸幕府に殉ずるを得ないと若くして散っていった彰義隊の若者を通じて江戸時代を懐かしみ、そして江戸時代は終わってしまったんだと意識の中で区切りを付けたかったのに違いない。読んでて切なくなった。 「うえからは明治だなどと云ふけれど 治明(おさまるめい)と下からは読む」慶応4年に詠まれた落首は鋭い。

2012/06/03

ともたか

この本の「了」の段、枕書き。  「維新は実質上維新(これあらた)なる事はなく末期幕府が総力を挙げて改革した近代軍備と内角的政務機関を明治新政府がそのまま引き継いだにすぎない。革命(revolution)ではなく復位(restration)である。」   これはどこかで読んだような気がする。やっぱり明治維新というのは後で造られた歴史のように感じる。外見は新しい風を装っているが、内実は江戸時代に骨格が創られたもののようだ。 ヒナコさんの絵をヒトコマずつ見るとなんかみょうに味があって良かったねぇ。

2016/01/11

あお

彰義隊の知名度ってどんなもんなんだろう。たった6時間で決着がついてしまった上野戦争の最中、少年たちは何を思い何を感じていたのだろうか。幕末の動乱期、15,6歳の少年たちには、何が正しいかなんてきっとわからなかった。滅びゆく幕府と心中する必要なんてなかったのになあ。有名な新撰組や白虎隊と違い、人知れずその他大勢として死んでいった隊士たちもいたってこと。扉絵の「維新はrevolutionではなくrestorationにすぎない」っていうの、痛烈すぎる。そんなもののために死にたかったんじゃ、ないだろうに

2015/08/05

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