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昼の夢の終わり (現代歌人シリーズ8)

昼の夢の終わり (現代歌人シリーズ8)

昼の夢の終わり (現代歌人シリーズ8)

作家
江戸雪
出版社
書肆侃侃房
発売日
2015-11-17
ISBN
9784863852051
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昼の夢の終わり (現代歌人シリーズ8) / 感想・レビュー

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kaizen@名古屋de朝活読書会

#江戸雪 #短歌 身体が朽ちていくのがこわいのだ川面のつよいつよい光よ 雨の夜に都会のさくらくらぐらと赤信号に照らされている どの春もいまは遠いよさえずりをあびてあなたと川の辺にいる 川の辺を群れ咲くはなの水仙を見ている眸(ひとみ)、春の秀(ほ)となる 川べりの雲がひきはがされていくそれをかなしむひともいなくて 春の川つよく流れていた今日を微笑みにして胸にしずめよ 

2016/08/12

テトラ

病気を患ったこと、故郷である大阪のこと、日常のふとした感慨などが短歌になっている。生きるとはゆるされることだと言う歌人の言葉が重く響いてくる。お気に入りの歌を書き留めておく。/なぜ涙流れたのだろうながすたび咽喉にとろりとやさしさがきて/夏服の青のステッチわたしにはたったひとりで行く場所がある/ヒメツルソバ夏の道辺に広がっていたこと冬のこころにおもう/三月の雪もうじゅうぶんにくるしんだ受けとめながら川まで歩く/黄濁のトウモロコシを茹でており正しさでひとを責めてしまった

2016/03/16

だいだい(橙)

大阪に滞在している間に読み終えた。江戸さんの短歌には時々大阪弁が混ざっており、それが暖かな体温を伝える。とても、好きだ。2015年の歌集。江戸さんが入院、手術を経験する前後の、かなり深刻な時期の作品が並んでいるが、痛みや苦しみ、恐ろしさを含んでいるのに、暖かかみがあり読後感がよい。江戸さんの人格が投影されているのだろう。共感と、尊敬と。素敵な歌集だった。同世代の女性に薦めたい。大阪の私的散歩のコーナーも好き。 「漆黒のぶどうひとつぶ口に入れ敗れつづける決心をする」

2022/12/18

おはぎ

なぜだかはよく分からないけれど、ひとの日記を拝借して覗いているような感覚で読んだ。罪悪感ありきでこっそり読むのではなく、はいどうぞ、とあっけらかんとして渡されて読む感じ。ときに大阪弁のリズムが心地よい。〈さみしいと言ったらもっとさみしくてバルサミコ酢にキャベツをひたす〉〈うとうとと夜空の窓を見ていた日ひとの身体は縫えるのだと知り〉

2022/08/17

Kaoru Murata

きっぱりと一直線に飛んでゆく燕(つばめ)は空を愛しているか/生きるとはゆるされること梔子(くちなし)の枯れゆくように我は病みたり/月光よやがて逢えなくなるときもきみをやさしく照らすだろうか/秋の橋 下流ばかりが眩しくて柩のような舟が過ぎたり/ひきだしが引き出されたまま水仙の一筆箋に陽がさしている/やさしさがさびしいだけの時があり鳥よひかりのごとくはばたけ/思い出はまっすぐ抱いていてはだめ阪急電車に肩を揺らせり/まっしろなさるすべり咲くこの夏に百万本の日傘見送る

2016/01/04

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