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名著奇変

名著奇変

名著奇変

作家
柊サナカ
奥野じゅん
相川 英輔
明良悠生
大林利江子
山口優
出版社
飛鳥新社
発売日
2023-06-01
ISBN
9784864109574
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「名著奇変」のおすすめレビュー

予想外の展開に驚愕! 現代ホラーとして蘇った『山月記』に背筋が凍る。小説クリエイター・けんごさん激賞の名作アンソロジー

『名著奇変』(柊サナカ・奥野じゅん・相川英輔・明良悠生・大林利江子・山口優:著/飛鳥新社)

 これぞ温故知新。名作を改作した怪作。とびきり奇妙で、不気味で、ゾクゾクさせられるアンソロジーが誕生した。その名も『名著奇変』(柊サナカ・奥野じゅん・相川英輔・明良悠生・大林利江子・山口優:著/飛鳥新社)。誰もが知る日本文学の名作を若手の実力派作家が現代風にアレンジした短編集だ。モチーフとなったのは、国語の教科書にも出てくる名だたる名作6作。それらが本書では、なんとホラーミステリーとして生まれ変わっている。文豪ファンはもちろんのこと、普段活字に馴染みがない人にもオススメ。たった10分、スキマ時間に読むことができるし、どの作品も、今を生きる現代人に身近な舞台設定になっているから、あっという間に読めてしまうだろう。

 ページをめくれば、新進気鋭の作家たちの発想力にあっと驚かされる。ジョバンニと友人カンパネルラの不思議な旅を描いた宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は、死者が乗車する列車にいつの間にか乗り込んでしまった男の恐怖の物語に。日本固有の美意識を説いた谷崎潤一郎の『陰…

2023/6/15

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日本文学の名作を若手実力派作家たちがリメイクした、短編ホラーミステリ集『名著奇変』(柊サナカ、奥野じゅん、相川英輔、明良悠生、大林利江子、山口優/飛鳥新社)。ベストセラーのDNAを存分に活かしながら、現代の小説家が極上のミステリーに生まれ変わらせました。その中から、中島敦『山月記』をベースにした『山月奇譚』(山口優:著)をご紹介。じわじわと追い詰められていくような感覚に陥る現代ホラーをお楽しみください。

『名著奇変』(柊サナカ、奥野じゅん、相川英輔、明良悠生、大林利江子、山口優/飛鳥新社)

「こんばんトラ! たくさん来てくれて嬉しいトラー!」 (語尾がトラかよwww)  そうコメントが流れる。  私、山口は、帰ってからRI☆CHOの初配信というのを見ていた。袁田氏にはああ約束したが、好奇心に負けてしまったのだ。 「RI☆CHO☆ちゃん☆ねる」は、初配信の動画一つだけのコンテンツだったが、未だ残存していた。 (本当にあったとは……)  私はコメントを…

2023/6/22

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『名著奇変』(柊サナカ、奥野じゅん、相川英輔、明良悠生、大林利江子、山口優/飛鳥新社)

「それから……?」  私、山口は、若干身を乗り出して、袁田氏に尋ねた。 「知りたいですか?」  袁田氏は謎めいた笑みを浮かべた。 「ホラーというものは、主人公が無事だと分かると途端に面白さがなくなるものです。あ、そうだったんだ、無事だったんだね。じゃあ怖くないね、と。でも、ホラーで被害者が死んでしまったら、語り手は生き残った方、そう、加害者の方になってしまう。そ…

2023/6/21

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名著奇変 / 感想・レビュー

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yukaring

「櫻の木の下には」「銀河鉄道の夜」などの名著のDNAを取り込み、現代風にアレンジしたホラーアンソロジー。名作をなぞりながらも人間の暗部をえぐる鋭い切れ味とラストに待つどんでん返しに背筋がゾッとする。特に怖かったのは「セメント樽の中の手紙」をモチーフにした『SNSの中の手紙』知らない女性<ミコ>から次々と送られてくる不気味なメッセージと画像。そしてその意味がわかった時に待つ真の恐怖と絶望はSNSを日常的に発信する現代人への警告ともなっている。ホラーだけではなく謎解き要素も楽しめる夏の夜にピッタリの短編集。

2023/07/05

よつば🍀

「SNSの中の手紙/柊サナカ」「影喰い/奥野じゅん」「Under the Cherry Tree/相川英輔」「カムパネルラの復讐/明良悠生」「せりなを書け/大林利江子」「山月奇譚/山口 優」六話収録の短編集。『銀河鉄道の夜』や『走れメロス』等の名作を現代風に進化させたホラーミステリ。元の作品を未読でも全く問題ない。モノトーンの挿絵との相乗効果で恐怖は加速。六話どれも読みやすく面白かったが、柊サナカさんと大林利江子さんの作品は人間の悪意が曝け出されイヤミスの様な展開にゾゾッ。隙間時間に楽しめる新感覚ホラー。

2023/07/09

らすかる

文豪たちの名作をモチーフにした6話のホラーアンソロジー。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」や太宰治の「走れメロス」中島敦「山月記」等を現代版にアレンジした作品たち。かなり現代風になってるので元の名作とはかなり違って感じたけれども、またそれも良し。別物として堪能しました。面白かった!

2023/09/14

rosetta

青空文庫に入っているような名作を換骨奪胎という触れ込みで興味を持ったが、基本的にホラー仕立てなのでラノベ風の軽い読み物ばかりな印象。作家さんも知っている人はいない。どこに繋がりがあるのか分からないものやモロにパロディかと言うものまで。「セメント樽の中の手紙」と「陰翳礼讃」は元を読んでないから余計分からない。逆に「山月奇譚」の「その声は我が友、李徴子(りみこ)ではないか?」という台詞には吹き出しそうになった。他には「桜の樹の下には」「銀河鉄道の夜」「走れメロス」が取り上げられている。

2024/01/02

きたさん

『走れメロス』『山月記』などの名作のオマージュとして書かれた短編アンソロジー、なのですが、大幅なアレンジがきいているというかあくまでも元ネタはモチーフくらいの扱いなので、名作が好きだからという理由で手に取ると拍子抜けしてしまうかもしれない。逆に元ネタを読んだことがないと、気になるというか興味が湧いてきます。表紙のイメージ通り、ホラーの味わいが強い作品が多め。個人的にはロジカルな味わいもあった「影喰い」が好きでした。

2023/07/28

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