飛び散れ、水たち
飛び散れ、水たち / 感想・レビュー
けんとまん1007
瑞々しい感性。青春の二文字が脳裏をよぎる。が、それだけではないものが、ここ句集にはあると感じた。そんな中、最後のほうは3.11に関連するパートがあり、ここに、この歌人の立ち位置を感じる。
2020/09/06
遠い日
青春の歌。恥ずかしくなるほどに、と思いつつ読み進むにつれ、わたしにも思い当たる厳しい自虐や逡巡、飲み込んだことばの苦さや言ってしまったことばの後悔。あぁ、時はただの一瞬も止まってはくれないのだと、改めて思う。若い歌が311の震災に向き合う時、がらりとその佇まいとベクトルが変わる。厳しい自己裁断。言うに言われぬジレンマと、石巻で生きようという決意の重さを歌にする。ひりひりとした痛みを、隠さない。そこに押される。
2020/08/29
toron*
良いなと思った歌をいくつか。 僕たちは世界を盗み合うように互いの眼鏡をかけて笑った 雨の降り始めた街にひらきだす傘の数だけあるスピンオフ ラムネの瓶に閉じ込められたビー玉は眠る円周率の無限と 夜の道に走り続ける高速の僕らはひかり 抗うほうの 三色の風 永遠の春となる床屋のサインポールを染めて その他、書き切れなかった感想、自分と絡めて思ったことをnoteにまとめました↓ https://note.com/toron0503/n/n902dfc32de38
2020/06/01
シロクマぽよんぽ
短歌って個人の内面を掘り下げることが多いように思うが、この作品はより他者との関係性に焦点化している。僕よりも僕たち、ひとりでする行為よりも誰かとする行為がこれだけ詠まれるのは、結構珍しいんじゃないかと思う。
2020/11/29
yumicomachi
2020年5月刊行の第一歌集。瑞々しい青春詠の多い〈I〉〈II〉と故郷であり被災地である石巻をめぐる歌と短文が収められた〈Ⅲ〉とが、けっして解離することなく、一人の青年の輪郭を描き出す。〈それはもうほとんどたましい たったふたつの雪見だいふく君と分ければ〉〈いまを吹く風 恐竜のほんとうの鳴き声を誰もずっと知らない〉〈夜の海確かに君を感じつつ僕は僕だけと話し続けた〉〈あの時は東京で学生をしていましたと言えば突然遠ざけられて〉〈Uターンの理由は震災かと問われ「まあ」と答えてはぐらかしてる〉監修・解説:山田航。
2020/09/04
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