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人間の彼方

人間の彼方

人間の彼方

作家
ユーリ・ツェー
酒寄進一
出版社
東宣出版
発売日
2023-11-06
ISBN
9784885881121
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人間の彼方 / 感想・レビュー

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たま

初読みの作家さん、良かった。ベルリンの広告業界で働くドーラ、環境保護論者の同居人がCOVID19で自粛を押し付けるのに嫌気がさし、家を衝動買いして田舎に引っ越すーと隣はネオナチと判明。簡単なプロットだが、30前後のドーラが少しふわふわしていて連想があっちこっち飛び400頁。ドーラの犬が可愛くネオナチ男の存在感、祭りや葬式で人がバラバラに集まって来る場面が良い。ドイツの地域、階層、政治的立場の違い等に詳しければもっと面白いだろうが、レッテル貼りを超え人間として付き合うことの大切さがしっかり伝わってくる。

2024/04/25

ヘラジカ

新型コロナ・ウィルスはあらゆるものを奪い去った。しかし、人間を表現する芸術からは奪った以上のものを与えたのではないか。そんなことすら考えてしまう快作であった。断絶の社会を通して人間を描くということ、実際にパンデミックを体験した者にしか創れないものがあるだろう。非常に政治的でありながら、同時に政治とは全く無縁でもある。シンプルな「問い」をあからさまに読者に投げかけることなく、穏やかに提示してみせた。温かな気持ちと胸に痛みを残して、読み終えた後にはほんの少し成長した気にすらさせてくれる。大好きな作品。

2023/11/15

アイシャ

環境が変わることでそれまで相容れないと思っていた人と人が結びつくこともあるという、人間そのものについての小説なのでは?ベルリンでコピーライターとして一線で働いているドーラは30代半ば。ジャーナリストのロベルトと暮らしているが、環境問題やコロナに関して行き過ぎた意見を持つ彼との暮らしについていけなくなった。ホームオフィスが始まり地方の田舎家に逃げるように引っ越した彼女は静かな生活を求めるが、お隣さんは「田舎のナチ」と自らを名乗るゴート。本来なら相いれない二人のはずが、深い心の交流が始まる。最後は涙涙。

2024/01/11

星落秋風五丈原

ベルリンの広告代理店でコピーライターとして働く36歳のドーラは、愛犬を連れて田舎の小さな村ブラッケンに逃げてきた。表向きはロックダウンした都会から人の少ない田舎に避難したようにみえるが、本当の理由は別にある。環境問題にのめりこむパートナーとの間にはしばらく前から隔たりができていて、コロナを機に過激の度合いを増す彼の態度に辟易したドーラは、彼と距離を置くことにしたのだ。反発から恋へというストーリーが想起されるが、ラブストーリーではない。

2024/02/11

田舎に移り住んだらたまたま隣人がネオナチだったりする可哀想な主人公 大変な目に会いつつも多くの人とふれあい、少しずつ変わっていく 悲しい結末だが、日本では知ることのできないドイツの片田舎の実情も伺えて興味深かった

2024/02/11

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