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恋人たちはせーので光る

恋人たちはせーので光る

恋人たちはせーので光る

作家
最果タヒ
出版社
リトル・モア
発売日
2019-08-30
ISBN
9784898155097
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恋人たちはせーので光る / 感想・レビュー

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旅するランナー

心の中にある、険悪な闇と健全な病みが言葉となって吐露される。優しい殺意、カジュアルな絶望、美しい偽り、途方もない孤独なんかを感じ取る。なんていう独りよがりの感想も激しく否定される。“言葉は通じないものだ、人はそれぞれ、これまでの人生、経験、環境を通して、一つ一つの言葉の意味を捉えていて、だから共通の意味なんて一つだって言葉にはありはしないんだ“と。それでも、最果タヒが発する「ひとりぼっちの言葉」を、これからも僕たちは追い続けたくなるのだ。

2020/04/02

いこ

タイトル買い。自分の心の中を表す文章力をもたないので、時には詩集もよいなと思った。例えば、こんな。  ぼくがきみを好きだとしても、きみにそれは関係がない。割れてしまったガラスは以前より光を反射するから、本当は境界線などなくしてただキラキラするべきだった。誰かに、恋をするべきだった。  また、こんな。  愛などなくても生きていけるということを、知っていました。本当は。それでも、きみがわたしの中に最初からいたように、思ってしまったから。もう。2月14日が来ている。  詩は書けないけど、時にとても素敵。

2019/12/20

ぽてち

タイトルがめちゃくちゃいい!「せーの」はお互いが個々であるという自覚の元での掛け声で、だからこそ「せーの」で掛け合わせると生命力が迸る。(というのは個人的解釈)最果さんの詩はどこまでも肯定的な孤独を歌っている。

2020/05/16

ちぇけら

水平線に分度器をあてがって、あさっては果てしなくとおいねと恋人たちは囁きあう。そんな夢をみたから、蛍光塗料をとっぷり海にながしこんで、うつくしいものに復讐する。だけど実際に海をそめるのは打ち上げ花火の赤だったし、当たり前だけど、それはとてもうつくしかった。かき氷が真っ赤に溶けるまで見ていた。きみが笑って何かをいった、その何かが聞こえるまでの一瞬、きみの笑顔はぼくだけのものだった。これが感情だったらよかったのに。愛、だったらよかったのに。なんでもないぼくの涙が落ちていく、8月をそこにのこして、しんでいく。

2019/08/31

いいな、と思ったフレーズを音読しながら楽しんだ。でもそれを切り取って記すのは、いつもやっていると段々野暮で不誠実に思えてきたので、今回はやめます▼自分を愛してくれるセイウチとかいたら面白いな。また朝が来たら、好きなものを好きと言える可能性はどれだけ減ってしまうのかな▼最果さんの詩集は、いつもあとがきが素敵だ。詩を解説しているようにも、逆により「謎めかせて」いるようにも感じられる。

2020/02/02

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