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味つけはせんでええんです

味つけはせんでええんです

味つけはせんでええんです

作家
土井善晴
出版社
ミシマ社
発売日
2023-10-20
ISBN
9784909394941
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「味つけはせんでええんです」のおすすめレビュー

料理研究家・土井善晴から見たAI、環境、経済――料理を起点に考える現代社会の生き方のヒント

『味つけはせんでええんです』(土井善晴/ミシマ社)

 ご飯を食べて「美味しい」と心の底から思えたり言えたりすることは、誰にとっても幸せなことです。しかし、料理をすることに関しては、現代社会では必ずしも万人にとって幸せなことではありません。料理はなにかと面倒で、しばしば効率化の対象になります。

 しかし本稿で紹介する『味つけはせんでええんです』(土井善晴/ミシマ社)は、「料理はそんなに肩肘張らず手をかけなくていいんだ」ということを伝えようとしている本ではありません。「料理本」でもありません。半年に一度刊行されている『生活のための総合雑誌 ちゃぶ台』(ミシマ社)で、2020年11月から2023年6月に料理研究家・土井善晴氏によって綴られてきたエッセイをまとめた本書は、「料理研究家から世界はどう見えているのか」が綴られています。

 本書の軸になっている考えを一言でまとめるならば、「料理の味が美味しいかどうか」ということよりも、「食べたい、作りたいと心の底から思えること」のほうが味わいに繋がるということです。実際本書は、中学生のレポートの一環で「AIと食の未来…

2023/11/17

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味つけはせんでええんです / 感想・レビュー

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shikashika555

読んで安心した。 土井善晴さんの書かれていることは至極まともで、かつ予想よりアグレッシブなものであった。 よかった共感できる。 とくに 「5. 料理する動物」に書かれている内容に頷きながらの読書だった。 『自我を最優先させるのは(中略)他者を思いやる気持ちがないのは、明らかに想像力の低下です。「それはね、おいしいものの食べすぎなんですよ」』 実生活でも、何もせず受け取る一方の人間は 自我を肥大させ要求をエスカレートさせる。

2023/12/02

ぶぶ ひこ

「一汁一菜」ご飯を炊いて味噌汁をつくるだけを提唱している料理研究家の土井喜晴著。おいしいってなんだ、基準ってなんだ、生きるってなんだ、料理から人間は考えることができると問題提起しています。地球上でもっとも弱い原人が生きるために、火を使い刻むことを覚えた。現代に生きる私たちは、この料理をするという人間らしさを忘れてはいけない。和食の根源的な魅力を知ることができた。

2024/03/24

あまね

土井先生の『一汁一菜』哲学を手を変え品を変え、回り道と寄り道をしながら深めているエッセイでした。その哲学が理解できたか?というと、なかなかに深淵で難しくありました。しかし、『自然に感謝して、季節の恵みを素材に、家族を思って料理する。これが生きる喜びの原点です。』の言葉は、数十年、キッチンを預かってきた私の思いでもあるなぁと思いました。

2024/01/02

ゆきねこ

料理人だけど、地球の環境のことや、歴史のこと、古代の人間のことも考えているグローバルな本。土井善晴さんは有名な和食の料理人。「味付け」は、動物としての本能から逸脱した行為。和食は、素材が持つそのもののうまみや栄養を食らう。料理することは、愛情を表現すること。斎藤幸平さんの脱成長理論など、料理からこんなに深いことを考えられるなんて、テレビによく出ていた料理人に対する認識を大きく変える。料理することは賢くなること、自然と一体になること。将来の地球を考えること。合点した。

2023/12/03

まめ

ひどく疲れていたとき、『一汁一菜でよいという提案』には大いに救われた。本書はその当時の柔らかさを少し減らし、哲学的・宗教的なエッセンスを加えたような一冊だった。

2024/02/19

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