瀬戸康史さんが選んだ1冊は？「霊との距離感や各エピソードがリアルで思わず共感しながら読んでました」

　毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、瀬戸康史さん。

（取材・文＝倉田モトキ　写真＝大石隼土）

「作者が実際に見たり、聞いたりした霊体験が描かれたマンガ作品で。“そうそう、こんな感じなんだよなあ”と、共感しながら読んでました」

　そう読後感を語る瀬戸さん。“共感する”という言葉にひっかかり、詳しく話をうかがうと、瀬戸さんも幼少期から霊感があったそうだ。

「その影響だと思うんですが、昔から神秘的なことや都市伝説とかも大好きなんです。今でもそうした本や動画を見て、考察して楽しんでます。たとえば心霊動画でも、これは明らかに嘘だなというのはすぐに分かる。でも、この『憑きそい』は軽いタッチのイラストで表現されているものの、内容がかなり生々しくて。なかには不気味な話もありますけど、霊の全部が悪者という描き方をしているわけではない。見える人にとって、霊ってもはや“ただそこにいる”という日常的なもので。そうした距離感もリアルに描写されているんです。きっと『そんなものは信じない』という方もいると思います。けど、まずは読まず嫌いせず、一度手にしてほしいなと思います。もちろん、無理強いはしませんけどね（笑）」

　そんな瀬戸さんが出演する新作舞台『世界は笑う』がまもなく開幕する。本作は、昭和30年代初頭の新宿を舞台に描かれる喜劇人たちの物語だ。

「当時、華やかな世界の裏で波瀾万丈な半生を送っていた方も多かったそうで。創作のお話ではありますが、そうした喜劇人たちの裏の姿や葛藤を描いた作品になりそうです」

　驚くのはキャストの豪華さ。

「意外と初共演の方が多いんです。同年代で言えば、勝地涼さんもその1人。初めてお会いして、アツく、マジメで、頼れる兄貴という印象を持ちました。千葉（雄大）も一緒に芝居をするのはほぼ初めてで。今回は兄弟役ですし、どんな隠し玉を見せてくれるのかとワクワクしています。（伊藤）沙莉はひと言でいえば天才。ただ、舞台経験が少ないらしくて。今、稽古場でちょっと戸惑ってる感じがかわいいです（笑）」

　なお、作・演出を手掛けるKERAさんとは3作目の舞台となる。

「またお声がけいただいて、本当に嬉しいです。KERAさんは毎日少しずつ本が出来上がってくるので、常に新鮮で贅沢な時間を過ごしている感覚になる。それに稽古を見ながら展開を考えていかれるので、思いがけない設定があとから生まれたりして。またあの日々を味わえるのが楽しみです」

ヘアメイク：須賀元子（星野事務所）　スタイリスト：小林洋治郎（Yolken）　衣装協力：ジャケット3万円／masterkey（TENNY RANCH）、ニットポロシャツ1万7930円・Tシャツ9900円／ともにMAISON SPECIAL（MAISON SPECIAL AOYAMA）、デニム3万800円／BRU NA BOINNE（BRU NA BOINNE DAIKANYAMA）＊すべて税込

舞台『世界は笑う』