本がないと、生きていけない。そんな監督があなたに伝える、人と世界を変える物語=MEME

新刊著者インタビュー

更新日:2013/12/4

小説の中に生きるために必要な真実がある

——紹介する作品のほとんどが小説なのはなぜですか?

小島 ビジネス本や自己啓発本には食指が伸びないんです。わかりやすい答えは求めてなくて、自分で何かを発見したい。小説や演出されたノンフィクション作品は書き手の創作ですが、そこにこそ真実がある。本書で紹介したのは、そういう真実を発見して、「誰かに語りたい!」と強く思った作品ばかりです。

——今回の監督のエッセイを読んで、書評家とは異なる視点を感じました。「クリエイターはこう読み解くのか!」と嬉しい驚きの連続でした。

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小島 僕はゲームデザイナーなので、評論をするつもりはないですからね。それよりも一読者として、その本にまつわる僕の記憶とともに、本が与えてくれた喜びや発見みたいなものをみなさんと共有したかったんです。

——本書は「本の読み方」を知る手がかりにもなるのでは?

小島 本を読むという行為は、物語に宿るMEMEのバトンを受け取ることです。映画や音楽もそうで、僕が前に進んでいくには欠かせません。創作された物語を読み、そこから何かを得るのは模倣ではありません。そこに書かれた物語は一つであっても、人によって、もっと言えば、いつ・どんなときに読むかで受け取り方は違ってきます。本を読み、この世界にある無数の物語に触れた蓄積から、新しいMEMEが生まれて人と世界は豊かになっていくのではないでしょうか。大げさに聞こえるかもしれませんが、僕は本当にそう思っているから、貪るように本を読むんです。映画を観るのも、音楽を聴くのも同じです。

——そして、読んだ本、あるいは映画や音楽について、エッセイで熱く伝えるのですね?

小島 そうなんです。でも、受け取った本や物語について語って誰かにMEMEのバトンを手渡さないと。「誰かに語る」、その行為そのものが自分のMEMEを遺すことに他ならないからです。だから、創るゲームでMEMEを伝えるだけでなく、書評や映画評、本のオビの推薦文の寄稿、ツイートをしています。本や物語について語り、MEMEのバトンを渡す行為が創作であり、そこから生まれたものは自分オリジナルですよね。

——MEMEは監督の創作の原点になっているのでしょうか?

小島 僕が創ったゲームにも、書いた文章やこうやって話している語り口にも、僕のMEMEを遺しています。個から個へ、時代から時代へと、広大な世界の中では一つの点でしかない自分でも、本の中にある「物語」から手渡されたMEMEをさらに誰かに渡して世界と繋がっていく。MEMEという言葉を分解すると「ME+ME」。次の世代に何を伝えるのかを、考え、選択する、このことこそが僕が伝えたいMEMEです。次の世代にバトンを渡すのも僕の役割で、早く次の世代に僕を追い抜いていってほしい。そうじゃないと、人も世界も前に進みませんから。

取材・文=東海左由留(SCRIVA) 写真=鈴木慶子

【特別企画2】ゲームも小説も、MEMEは未来へと伝えるバトン
【特別企画3】連載&単行本執筆秘話 様々な実験といたずらを仕込んだ『僕が愛したMEMEたち』

シリーズのMEMEを受け継ぐ、新しいメタルギア
『メタルギア ライジング リベンジェンス』

長谷敏司さんが小島監督からMEMEを引き継いで新たな「メタルギア」を書くように、また違ったかたちで監督のMEMEを受け継ぎ、生まれたゲームがある。2月21日に発売される『メタルギア ライジング リベンジェンス』(以下『MGR』)。本作は『メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』(以下『MGS4』)から4年後の世界を舞台に、『MGS4』ではサイボーグとなり登場した「雷電」を主人公とし、サイボーグ対サイボーグの人智を超えた戦いを描く。シナリオおよび設定監修は小島プロダクションが担当するが、数々のアクションゲームを手がけてきた「プラチナゲームズ」が開発したアグレッシブかつ壮快感あふれるアクションは、まったく新しい「メタルギア」と言えるだろう。

『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』
KONAMI アクション PlayStation®3
パッケージ版:6980円/ダウンロード版:6480円 2月21日発売
(c)Konami Digital Entertainment Developed by PlatinumGames Inc.

『メタルギア ライジング リベンジェンス』キャンペーン情報

 本作については、以下のように多彩なキャンペーンが展開中。
 豪華プレゼントも見逃せない。

  • 1.体験版感想
    ツイートキャンペーン
     

    2月28日まで、『MGR』の体験版(PS Storeにて無料配信中)をプレイした感想を専用サイトで募集中。「MGS4雷電カスタムボディ」ダウンロードコードが全員にプレゼントされるほか、抽選で『メタルギア ライジング リベンジェンス』グラフィックT(写真)などさまざまなプレゼントが当たる。

  • 2.店頭体験会が
    発売日まで毎週末開催
     

    ゲーム発売週となる2月17日までの毎週末、全国のゲーム取り扱いショップ店頭で体験会を開催。こちらも「プレミアムリバーシブルポスター」(写真)ほか豪華プレゼントが!
     

  • 3.体験版が全国のGEO
    ならびにGameTSUTAYAで
    無料レンタル中

    配信中の体験版は、実店舗でもレンタル可能。これをプレイして、開催中の『メタルギア ライジング リベンジェンス』体験版感想ツイートキャンペーンにも参加しよう。
    ※一部取り扱いのない店舗もございます。詳しくは各店舗にてご確認ください。


次回(2月20日更新予定)は小島監督と『BEATLESS』の著者・長谷敏司さんとの対談を掲載。『メタルギア ソリッド3 スネークイーター』をノベライズする長谷さんに、監督が手渡すMEMEのバトンとは?