二階堂ふみ「古本屋さん、レンタルビデオ屋さん、家に帰って、観て、読んで。それが家族との休日の過ごし方でした」

あの人と本の話 and more

2014/6/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『私の男』が公開間近の二階堂ふみさん。以前から愛してやまない原作への想いとは? そして“大の本好き・二階堂ふみ”を形成した幼い日の楽しい時間とは?

「原作と脚本、アプローチの仕方は違うけれど、花と淳悟二人の関係性が濃やかに表現されていて、演じるにあたって違和感はなかったですね」

『私の男』を初めて読んだのは中学生の頃。タブーと呼ばれる愛は、思春期の只中にいた二階堂さんにどう響いたのだろうか。

「男と女というものがまだよくわかっていなかった時期だからこそ、逆にすんなりと受け入れられた気がします。同性愛の文学やマンガも読んでいたので、いろんな愛の形があるということは理解していましたし。なにより桜庭一樹先生の描く耽美な世界観に圧倒されて、美しい二人の物語だなぁと思って夢中で読んでいました」

 本と仲良しの暮らしは幼い頃から。

「父が本、母が映画好きな家庭で。休日は一緒に古本屋さんに行って立ち読みを2~3時間、気にいった本を購入、そのあとレンタルビデオ屋さんに行ってアニメを借り、帰りにコーラとポテトチップスを買い込み……それらをいただきながら、アニメを観る!みたいな(笑)。観終わった後は買ってきた本やマンガを読んで……。それがいつもの休日の過ごし方でした」

 小学生の頃からさまざまな本を読んできた二階堂さんが10代に入り、目覚めていったのは純文学。

「昔の日本独特の美しい世界観を持つものが好きなんです。室生犀星の『性に眼覚める頃』や泉鏡花作品など。現代作家では嶽本野ばら先生と桜庭一樹先生の作品をずっと読んでいました」

 いちばん驚いたのは二階堂さん自身だったようだ。

「映画『私の男』は桜庭先生独特の世界観がそのままあって、そこに熊切組ならではの骨太さと繊細な部分が存在している。原作と映画がリンクする、このしっくりとしたバランス感はなかなかないんじゃないかと思います」

取材・文=河村道子 写真=冨永智子

二階堂ふみ

にかいどう・ふみ●1994年、沖縄県生まれ。2008年『ガマの油』で映画デビュー。映画『ヒミズ』で第68回ヴェネチア国際映画祭、日本人初の最優秀新人俳優賞を受賞。出演作にドラマ『Woman』、映画『四十九日のレシピ』など多数。7月にWOWOWドラマ『変身』、夏から秋にかけ、映画『渇き。』『日々ロック』の公開が控える。雑誌『POPEYE』で連載中。
ヘアメイク=高草木剛(ヴァニテ) スタイリング=内藤克幸 衣装協力=ワンピース(バンド オブ アウトサイダーズ/サザビーリーグ TEL03-5412-1937)

 

『磯部磯兵衛物語1』書影

紙『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(1~2巻)

仲間りょう 集英社ジャンプ・コミックス 各400円(税別)

花のお江戸で暮らす青年武士・磯部磯兵衛の夢は立派な武士になること。武士道学校に通い、日々精進するはずが……励まず、学ばず、春画にうつつを抜かす、ぐっだぐだな日々を描いた、浮世絵脱力系ギャグマンガ。ダメ息子を信じ、溺愛する母上様、故・宮本武蔵や徳川15兄弟など、次々登場するキャラにも爆笑で候。

※二階堂ふみさんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ7月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『私の男』

原作/桜庭一樹『私の男』(文春文庫)
監督/熊切和嘉
出演/浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤 竜也
配給/日活
6月14日(土)より新宿ピカデリーほか全国公開
●10歳で孤児となった少女・花は遠縁の男・淳悟に引き取られる。二人は北海道紋別の田舎町で、孤独と秘密を抱えながら暮らしていた。ある日起きた流氷の上での殺人事件。その報せを聞いた彼らは逃げるように町を後にするが──。
(c)2014「私の男」製作委員会