禁じられるほど燃え上がる――この夏、恋を忘れた大人にこそおすすめしたいアニメ! 花澤香菜×牧野由依×逢坂良太が語る「恋と嘘」

アニメ部

2017/7/13

 こんなに純粋な恋を、ここまで瑞々しく、しかも大胆に描いたアニメが、かつてあっただろうか?

 アニメ「恋と嘘」は、高校生の初々しい恋模様を描いた物語。第1話で、ごく普通の少年・根島(通称ネジ)は、モテモテの同級生・美咲への長年の恋を実らせる。告白シーンは、いい大人が観ても胸が高鳴るものがあった。もちろん、たっぷりと時間をかけた濃厚なキスシーンも含めて。

 しかし、2人の幸せな恋愛は、すぐに打ち砕かれてしまう。遺伝子レベルで相性のいい男女を結婚させる“ゆかり法”によって、根島は別の相手をあてがわれ、美咲との仲を引き裂かれてしまうのだ。

 そこで終わらないのが、このアニメの面白いところ。その後、根島の前には、“ゆかり法”によって選ばれた結婚相手・莉々奈が登場。そして、それをきっかけに、なぜか美咲と再び“キス”することになる……。

 どことなくサスペンスの香りがするストーリー展開と、禁じられたまま進行する恋に、ドキドキが止まらない本作。キャスト陣もまた、純粋なキャラクターたちに突き動かされて(!?)、収録しながら考えさせられたという“恋”や“結婚”について語ってくれた。

――高校生の恋模様がとても丁寧に描かれている作品ですね。

花澤香菜(美咲役):初々しいな〜と感じます。応援したくなりますね。私が演じる美咲ちゃんは、ずっと好きだった根島くんに「キスしよっか」って言っちゃったりして。言えないですよね、今の年齢では(笑)。

――大胆ですよね。

花澤:大胆なんだけど、計算でやってない。つい想いが募って出ちゃう行動で。ただ、それをしたことによって後で苦しむことになるんだけど…。

逢坂良太(根島役):そう言われたネジも、すんなりキスを受け入れるという、見た目と違って男気のあるヤツ(笑)。そこは、いきなり積極的すぎるでしょ!ってなりそうなのに。

花澤:美咲は、根島くんのいちばん好きなところを「つむじ」って言ったんだよね。美咲もじつはネジのことをずっと前から好きで、教室の後ろの席からずっと見つめてきたから。でも「つむじ」って…。“好き”を通り越して、憧れみたいな気持ちがあるんでしょうね。根島くんって、美咲視点から見ても、私自身から見ても、いいなって思う。

逢坂:おおっ。

花澤:ちゃんと気持ちを真っすぐに伝えてくれて、いろんなことを見逃せない正義感が強い人で。高校生のとき、好きな人に対して素直になれない子をいっぱい見てきたからこそ、まっすぐに育っている根島くん、素敵だな〜って。……でも、美咲と莉々奈のどちらを選ぶのか、はっきりしてほしい(笑)!

逢坂:お、おう(笑)。いや、はっきりしたいんだけど…。

牧野由依(莉々奈役):結婚相手の莉々奈が、ネジを拒否しちゃってるから(笑)。莉々奈はネジのこと、頼りなくてバカで…って言うけど、真っすぐな優しさに惹かれるところはあると思う。自分から惹かれていくというよりは、そのままの自分を受け止めてくれる人。そういう居心地の良さは感じてるんじゃないかなあ。

――美咲とネジが好きあう一方で、莉々奈と美咲はライバル同士であるはずが、そうとも言い切れない関係です。

花澤:美咲と莉々奈は、けっこう好き同士なんだよね。

牧野:そうそう。莉々奈は美咲のこと、とっても大好き。

花澤:美咲はりりちゃん(莉々奈)に根島くんの良さをいっぱい伝えて、好きになってもらおうとしてるんだけど。だけど、美咲は苦しいと思う。根島くんと触れる機会が積み重なると……ねえ。

牧野:生き地獄…! ヤだよね? オトナになってからそんなことがあったとしたら、私はイヤだ(笑)。

花澤:うん、切ない。美咲としては、根島くんとの恋を一度あきらめているから、関わらないこともできるのに。で、美咲はちゃんと嘘もつけるから、その器用さが彼女自身を苦しめてる。

――ネジは罪深いですね。切ない美咲の女心をわかっているんでしょうか(笑)。

逢坂:共学じゃなかったので、高校生の女子の気持ちがわからなくて…。どんな感じだったんですか!?

牧野:高校生の頃って、女子はみんな先輩に憧れてたから、同級生の男の子になかなか目がいかなかった気がする。私の学校も男の子が少なくて、ほぼ女子校状態だったから、だいたい他校の年上の人とおつきあいしてる子が多かったかな。

逢坂:あ〜。他校なのに? あの人、私のこと好きかも…みたいな嗅覚が鋭くなるものなんですか?

牧野:年上とつきあってた子はそうだったかも。純粋培養の子たちはいかに鈍感でいられるか(笑)。両極端だった気がしますね。

逢坂:なるほど。そう考えると、僕が高校生のときは恋愛に一切興味がなかったんですよね。ほとんど小学生の延長で(笑)。女子を女子として扱ったことがなくて、男子と同じように、ふざけて頭をはたいたりとか。

花澤:でも、その女の子は「今、頭はたかれた…うれしい!」って意識してるかもしれない(笑)。

逢坂:え、嘘でしょ!? こっちが鈍感なだけ?

牧野:でも、ヘタに意識されるより、鈍感なほうが接しやすいかもしれない(笑)。

逢坂:たぶん、ラクなほうを選んじゃうんですよ。関係がこじれちゃうより、印象のいいほうが、のちのちラク。平和主義なので(笑)。

――作中では、そんな純粋ともいえる高校生の恋模様に、“結婚”という社会的なテーマが入ってくるわけで。“ゆかり法”という、いわゆる大人たちによる取り決めで、恋愛の自由は奪われてしまいます。

花澤:“ゆかり法”って、遺伝子レベルで相性がいい相手を選んでくれて、円満な夫婦が多いみたいなんだけど、果たして本当にそうなの?って思っちゃいます。人間同士だから、ケンカしたり、うまくいかないところもありそうなのに。

逢坂:たしかに、ネジの両親も“ゆかり婚”をして、すごく仲がいいけど、ケンカしないっていうのは、どういう理屈だろう。

花澤:ただ、「別れる?」ってなったとしても、国の圧力でペナルティが発生するのかなとか、科学がはじき出した数値によって、やっぱりいちばん相性がいいからって引き戻されるのかなとか、いろいろ考えちゃいますね。

牧野:そうそう。大きな組織の陰謀じゃないか、じつは大人たちがうまくいっているように演じてるだけじゃないか、とか。

逢坂:でも、我々みたいに30歳を超えた男にとって、自然と結婚させてもらうっていうのはメリットかなと思いますよ。たとえ、強制的にでも。最初はタイプじゃなくても、自分に好意を持ってくれてるとわかった途端にすごくかわいく見える、みたいなことがあると思う。男って単純だから(笑)。

――そんな中、たとえ好きな人と結婚できないとわかっても、両思いだったときの思い出を胸に、今後の人生を生きていこうとする美咲のような人もいて。

花澤:恋愛しちゃうと、後から振り返ったときに、恋してた時間がいちばん美しく思えることがあるから…。

牧野:莉々奈は、恋する気持ちがわかってないタイプ。恋に憧れてはいるけど。自分の気持ちにマッチする言葉が見つからない莉々奈を見てると、自分が大人になってしまったことに寂しさも感じるな。だからこそ、お芝居していてすごく面白い。

花澤:むずむずしながら、みんなの純粋な恋愛模様を見守って、どんどん変わっていくキャラクター同士の関係に振り回される。ドキドキが止まらない作品だよね。

取材・文=吉田有希

テレビアニメ「恋と嘘」

毎週月曜24:00〜TOKYO MX 他で放送中!
http://koiuso-anime.com

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