ベストアルバム発売記念! 「LiSAのBEST of BEST」インタビュー(前編)

エンタメ

2018/5/8

 LiSAにとって初となるベストアルバム『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』(ともに5月9日リリース)は、とても大きな意味のある1枚(2枚)になった。一般的に、ベストアルバムと言えば、それまでの歴史を総括し、いったん区切りをつける、という性質を持つ作品になることが多い。その意味で、LiSAのベストもまた、2011年4月に発表した1stミニアルバム『Letters to U』からの道のりをたどることができるのだが、重要なのは、過去を振り返る以上に未来を見せてくれるアルバムになっている、ということだ。7年間の歩みの中で、思うようにいかないことや、傷つくこともあった。だけどLiSAは今、聴き手との絆を育みながら走り続け、デビュー当時には想像もできなかったような景色を見ることができている。『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』は、LiSAと我々が紡いできた絆のドキュメントであり、だからいつでも傍らに置いておきたくなる宝物のようなベストアルバムになったのだ。

 今回は、「LiSAのBEST of BEST」と題し、2枚のベストアルバムに収録された楽曲について、事前に10個のテーマでアンケートに答えてもらった。前編は、アルバム制作時の想い、そして5つのテーマへの回答をもとに話を聞いた。

ベストアルバムを作ってるとき、「死んじゃってもいい」って思えるくらい幸せだった

――2枚のベストアルバム、宝物のような作品になりましたね。

LiSA:ありがとうございます。

――末長く聴き続けていきたいベストアルバムですよ、これは。

LiSA:そうですね。まず、ベストを出すことになったときに、自分自身が「LiSAのベスト」って呼べる曲って、わたしからすると全曲だなって思ったんです。120曲くらいあるけど、「さあ、ベスト出してください」って言われたら、わたし的には全部入れたくて。ひとつひとつ全部大事に作って、最高だと思って作った曲しか入れてないから。でも全部入れるのはナンセンスだから、ベストアルバムってどういうものなのかを改めて考えて、自分が伝えたい物語をみんなと一緒に追っていくものがいいのかな、と思いました。ベストアルバムって歌手人生の中で何枚出せるかわからないけど、初めてのベストアルバムで軸とするべきはアニメとライブだなって。だからアニメのタイアップ曲、そしてライブでみんなで一緒に育ててきた曲を届けたいなあ、と思いました。その歴史をたどっていくことで、今まで一緒に歩いてきてくれた人たちは、自分の思い出と一緒にアルバムをめくるように、節目節目の大事なものを受け取ってくれるんじゃないかなっていう気がします。

 Twitterにも書いたんですけど、完全数量生産限定盤はボックスになってるんですよ。小さい頃、おばあちゃんにもらったお菓子のカンカンがすごい好きで、その箱に自分の宝物を詰め込んでたことを思い出して。自分が好きだなって思ったものをいっぱい溜め込んでたんです。誰かからもらった手紙とかをずっと取っておいて、いつの日か箱が出てきたときに、「こんなことあったよねえ」って思い返すような宝箱を作りたいなあって思って、『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』を作りました。

――実際、ライブでよく歌っている曲が数多く収録されてますけど、改めてベストに入れるという目的で聴き直してみると、いろいろな発見があったんじゃないですか。

LiSA:はい。今回、選曲するにあたって、ほんとに全曲を聴きました。その中で「ここ、録り直したいなあ」とか「今ならこう歌うのになあ」みたいな場所がたくさんあったんですけど、それも含めて当時は一生懸命作った証なので、そのまま入れてます。発見は――“Rally Go Round”の「《もう限界、あーもう、くじけたい》ってメロあったんだあ」って思ったり、“ROCK-mode”の《たりらたりら》は、わたしのパートだったんだなあ、と思ったり(笑)。あとは、“Rising Hope”とか“crossing field”はもともと「聴いてもらうための曲」だったはずなのに、みんながひとつになる曲になったなあ、と思いました。

――ある意味、音源の時点で全然完成してないんだなあって改めて感じましたね。TOYOSU PITのアコースティックライブを観ていても「原曲がすごくいい曲ばっかりだな」と思ったし。

LiSA:そうなんですよ、LiSAの曲は全部いい曲なんです。だって、いい曲しか出してないもん(笑)。あと、聴きながら思ったのは――たとえば“BRiGHT FLiGHT”は、そのときに感じていた気持ちを書いたはずなのに、今の自分にすごく合っていたりするんですよね。今は違う景色を見ているけど、同じように思ってることもたくさんあって。「わたし、変わってないんだな」って思いました。それこそ“best day, best way”はすごく象徴的だなあ、って思うんですけど。

――今の話はベストアルバムのタイトルにも関わってくると思うんだけど、そもそもなぜ『-Day-』と『-Way-』にしようと思ったんですか。

LiSA:「Day」は、曲のひとつひとつだったり、毎日の日々だったり、一言一言だったりで、その欠片が「Way」になって今のLiSAがいるなあって思っていて。3枚目のシングル“best day, best way”の曲を受け取ったときは、先輩(田淵智也/UNISON SQUARE GARDEN)にLiSAの歌う道を教えてもらった気がしたんです。うまく言葉にできないわたしを先輩は見てくれていて、「きっとLiSAちゃんはこういう道を歩きたいんだろう」っていうことを曲にしてくれて。ひとつ、LiSAのテーマ曲になったのが“ベスデイ”(best day, best way)で、「わたしはこっちを向いて歩いていけばいいんだな」って思える曲ができたことによって、ライブのスタイルもすごく明確になったし、LiSAが伝えていくこと、道がすごく見えた気がしていて。そうやってもらったものを一個一個集めて、この7年で作ってきたLiSAの「Way」になってます。集めてみて「これ、わたし何も後悔ないわ」って思ったんですよ。

――何も後悔がないって思えるのは素晴らしいことですね。

LiSA:ほんとですよね。ベストアルバムを作ってるとき、「死んじゃってもいい」って思えるくらい幸せだったから。“Believe in myself”を作ったときに、SPEEDに出会ってから「歌手になりたい」って思ったときの夢が叶ってしまって、「この先どうすればいいの? LiSAってどうやって歩いていくの? どういう人になっていくの?」って考えて、目の前のことを一生懸命やりながら探してきたら、“ベスデイ”に出会って。で、そこからまた一生懸命作ってきたら、いつの間にか武道館でライブができて。武道館という夢が叶って、「この先どうしよう?」って思ったときにはみんながいて。その先に見たいものがいっぱいあったし、そこから「次行くぞ」「次行くぞ」ってやってきたことで、今ここにたどり着いてるんだなあって考えると、「大事じゃないことなんて何もなかったんだなあ」って改めて思います。

――感慨深い。

LiSA:うん。このベストも、新曲の“Believe in ourselves”を作るまでは、「もうLiSAはここで終わってもいい」って思ってたんですよ。

――確かに、“Believe in ourselves”っていうタイトルにはゴール感があるなあ、とは思ったかも。今までのことに決着をつけにいってる感じがするというか。

LiSA:そうそう。決着をつけにいって、結果、覚悟の歌になったんですけど。でも、この曲を作るまでは、「もう、わたしにはやることはない」って思っていて――。

――「自分ひとりで見る夢は終わっているけど、みんなと見たい夢はいっぱいある」っていう話でしょう? LiSAがひとりで見たい夢は、歌手になるっていう夢が叶った瞬間に終わってたのかもしれない。だけど、誰かと一緒の物語はずーっと続いているわけで。

LiSA:そう、ほんとにそのとおりです。全部やり切っちゃったなあ、新しい道を探さなくちゃなあって思ったときに、自分の中で目標を立てないと続ける覚悟ができないから、「次にみんなと一緒に行く場所はここ」っていう場所をなんとなく決めていたけど、続けていく中でしんどいこともすごくいっぱいあって。自分が傷つかないように、一緒にいて楽しい人たちとだけ、好きなことをやって生きていければそれでもいいのかなあって思ってたこともあって。

――それはいつ頃の話?

LiSA:去年。何かを好きでい続ける覚悟は、すごく必要だなあって思います。LiSAであり続ける覚悟と同時に、音楽を好きでい続ける努力をしないと続けられないなって思っていて。いろんな人がいるし、受け入れてくれない人もたくさんいる中で、弱音を吐きたくなったりすることもあるけど――でも、助けてくれる人も、好きでいてくれる人も、一緒に夢を見てくれてる人もいっぱいいるから。その人たちのためにわたしは歌い続ける、その覚悟を決めた曲が“Believe in ourselves”です。

“Believe in myself”は、「もうこの歌は自分のものではないなあ」って思う。同じような気持ちでいてくれる誰かのものになった気がする

【LiSAのBEST of BEST 前編】
①「LiSAを知らない人」にまず聴かせたい、名刺代わりの1曲 ⇒ best day, best way
②歌っていて、最高に熱くなれる曲 ⇒ Rising Hope
③実はちょっと苦手だった。だけど今は克服し、自信を持って歌える曲 ⇒ oath sign
④歌詞を書きながら一番泣いた曲 ⇒ Believe in myself
⑤歌詞の中に、「本当の自分が出ちゃったなあ」と最も強く感じている曲 ⇒ Catch the Moment

――事前に10個のテーマを決めて「LiSAのBEST of BEST」を答えてもらったわけですけど、このアンケートの回答がとても興味深い内容で。

LiSA:めちゃ悩みました(笑)。

――(笑)まずはテーマ1、「LiSAを知らない人にまず聴かせたい、名刺代わりの1曲」。“best day, best way”。「名刺代わりなのにタイアップ曲じゃないのかよ」っていう(笑)。

LiSA:(笑) “ベスデイ”はやっぱり、わたしの中で答えがいっぱいあって。《ただ今日が最高なんだから》っていう言葉が最高だな、と思うんです。歌って、いろんな役割があると思うんですよね。悲しいことに寄り添って一緒に悲しんだり、逆に何かの答えを出したり、発散させたり、いろんな役割があるけど、LiSAがシンガーとしてやりたいことは、やっぱり「みんなの人生に少しでも楽しいことが増えるといいな」っていうことで、そういう意味でのアンセム的な曲は “ベスデイ”だなあって思って。「ここに来たら楽しいことあるよ」っていうことを知ってほしいなあって思ったので、“ベスデイ”を選びました。

――テーマ2「歌っていて、最高に熱くなれる曲」、“Rising Hope”。

LiSA:いやあ、もうなんといったって燃えますからね、“Rising Hope”は(笑)。今の“Rising”にみんなが持っている認識と、思い入れと、曲の強さ、それとわたしがやりたかった遊び方もあわせて、すごく完成度が高くなっていて。緊張していても“Rising”を歌ってみんなと拳合わせたらオッケー、みたいな(笑)。そんな感覚になるくらい育った曲だなあ、と思います。会場も含めて一気にヒートアップできるし、今はすごく自信の持てる曲になってますね。

 わたしは自分自身が歌っていて気持ちいい感覚よりも、会場でみんながうわ~ってなってる感覚が楽しくて、それを見てわたしも熱くなるんですよね。みんなとの化学反応を見て、「ヤベえ、こいつら」って思うほうが燃えるから。そういう意味で、“Rising”よりも簡単に遊べる関係を作ってくれたのが“crossing field”ですね。でも、“Rising”の歌詞を書いたときはつらかったなあ(笑)。初めての日本武道館ライブで起こったつらかった経験をちゃんと音楽に落とし込んで約束の歌、誓いの歌にできたから、今はこの曲を歌うことで、絆みたいなものが一気に結べている気がしますね。

――テーマ3「実はちょっと苦手だった。だけど今は克服し、自信を持って歌える曲」。“oath sign”。これはファンなら誰でも予想通りの回答かな、と(笑)。

LiSA:(笑)ですよね。いやあ、“oath sign”とは因縁の仲でして(笑)。やっぱり、自分がこの曲を1stシングルにしてデビューするってなったときに、それまでGirls Dead Monsterでポップな曲をやってたことを一気に覆すことになるから、この曲をどう自分の中で自信を持って出そうかっていうところで、すごく苦戦しました。だけど、作品に対して一生懸命関わることがわたしの仕事だし、その気持ちを誰かが受け取ってくれるといいなあって思って“oath sign”を作ったんですけど、曲としては自分の得意分野じゃなかったし、「自分よりも他の人が歌ったほうがいい」って当時のわたしは思ってたので、大変でした。ライブでもどこに置いていいかわからなかったけど、みんなの作品への思い入れと、LiSAが歴史を重ねたことによって、“oath sign”の存在が勝手に大きくなっていって、すごく強い曲になって。で、今はLiSAとして、ちゃんと自信を持って「どや~!」って歌えます。

――完全に苦手は克服した?

LiSA:しましたね。でも、“oath sign”は“Rising”ができて歌えるようになったかもしれない。エースがいてくれるから、他の曲たちで思い切り遊ばせてもらえるところもあって。その役割を毎回シングルの曲たちがやってくれてるんですけど、“oath sign”を超えてくれる曲がなかった頃は、きちんと歌えてなかったと思います。だけど“Rising”ができたことによって、新しいLiSAのライブの形ができたので、“oath sign”を受け入れることができました。すっごい苦手な先輩がいて、「あの先輩にはマジかなわねえな」って思ってたけど、その先輩が卒業してから偉大さに気づいて、「俺も同じ場所立ちました」ってやっと並べた感じですね(笑)。

――(笑)テーマ4「歌詞を書きながら一番泣いた曲」、“Believe in myself”。この歌詞を書いたのって、何歳のときになるんだろう。

LiSA:22、3のときですね。一番最初にLiSAの名前をつけて出ていってくれた曲がこの“Believe in myself”で、それこそこの子に一番の重荷を先陣切って背負ってもらってるんですけど(笑)。自分の夢に希望を抱いて書いた曲だったので、シンガーとして歌い始めたときの夢が武道館で叶ったときに、「もうこの歌は自分のものではないなあ」って思うようになったんです。

――自分のものじゃない?

LiSA:うん。同じような気持ちでいてくれる誰かのものになった気がします。いろんな人の解釈があっていいなあって思ったし。でも、今聴いても、この歌詞に書いたような気持ちになることはあるけど。

――まだ不安になることがある。

LiSA:あるある。不安になること、あります。当時よりは、もう少し希望があるけど。

――ただ、「これが今のわたしの本当の気持ちです」っていうことでもないですよね。

LiSA:そうですね。それこそ、自分自身がLiSAになるための、第1弾の覚悟だった気がします。あとは、拙い言葉だけど、きちんと自分の思いを一生懸命伝えることを最初にやった曲でした。

――改めて歌詞を読みながら聴いていて、最後の英語の部分が面白いなあ、と思って。ちょっと意訳込みで訳すと「チャンスをつかみ取るために進み続ける、走り続ける」「いつか夢が叶う、わたしは決して諦めない」みたいな内容で、これを日本語で歌われたらちょっとパンチが強すぎる、みたいな(笑)。

LiSA:ダサい(笑)。失礼しました。

――(笑)失礼はされてないけど、実はほんとに言いたいことってこの部分だったのかなって。

LiSA:はい、そうですね。そのときは、自分のために歌ってましたからね。

――そしてその想いは今、LiSAを動かすメインエンジンではないというか。

LiSA:うん、そうですね。

――テーマ5「歌詞の中に、本当の自分が出ちゃったと最も強く感じている曲」、“Catch the Moment”。

LiSA:このベストの中で、シングル曲で自分の言葉で自分の思いを綴った曲って、それこそ“シルシ”もあったけど……なんだろう、何を目的として頑張っているか、何を目的として生きているか、自分の生き様っていうとちょっと重たいけど、生き方みたいなものを書いて歌った曲なので、本当の自分が出てるなあって思います。

インタビュー後編に続く

取材・文=清水大輔  撮影=CHITO YOSHIDA(AvGvST)
スタイリング=久芳俊夫 ヘアメイク=田端千夏

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<応募締切>
5月17日(木)まで

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