阿部サダヲ「人が考えたせりふを言うのって、違う人になれた感じがして、なんかいいんですよね」

あの人と本の話 and more

更新日:2013/12/19

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、すべてを失った男のサバイバル・ムービー『ぱいかじ南海作戦』に出演している阿部サダヲさん。リストラされ、妻にも去られて、気分転換に南の島にやってきたのに、浜辺のキャンプ生活で妙にいきいきしちゃう男・佐々木を好演している。

「アウトドアには憧れますけど、
ここまでのことはちょっとできない(笑)。
佐々木は、最初の頃、
浜辺で漁に使う網の中で寝てますからね」

思ってもみなかった環境で、それまで開けたことのないフタを開けてしまったんだろうか。佐々木はどんどん自由になっていく。阿部さんも思いがけないフタが開いてしまったことってありますか?

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「どうだろう……現場なのかな、やっぱり。
開けていい場所ですからね、あそこはね。
開けなかったら、お芝居できないですから」

そう語る阿部さんは舞台とは全然違う控えめな佇まいで語る。スイッチがオンになるとキレキレになるギャップがまたとても魅力的だ。

「人が考えたせりふを言ってるって、
なんか、いいんですよね。
違う人になれた感じがして。
初めて大人計画の舞台に立った時も、
なんだろう、すごく気持ちよかったんです。
緊張もなんにもしなかったですね。

どっちかっていうと、知ってる人の前で
しゃべったりするほうが苦手だったっていうか。
お客さんのことって、知らないじゃないですか。
だからなんにも怖くなかった。
今思うと、ああいうなんにもない感じで
よく立っていたなあって。

この映画の佐々木もラクだったんですかね、
知らない人といるほうが。
だから到着初日に荷物盗られても、
なんか怒れないんでしょうね。
自分の気持ちを気持ちよく
吐露させてもらった人たちですからねー。
怒るどころか、
ちょっと好きになりかけていたのかもしれない(笑)」

(取材・文=瀧 晴巳 撮影=鈴木慶子)
 

阿部サダヲ

あべ・さだを●1970年、千葉県生まれ。92年より「大人計画」に参加。2007年には『舞妓Haaaan!!!』で映画初主演。11年、ドラマ『マルモのおきて』が話題に。『夢売るふたり』『奇跡のリンゴ』と主演映画が待機中。8月1日からは舞台『ふくすけ』が待望の再々演。
スタイリング=チヨ(コラソン) ヘアメイク=荒川英亮 衣装協力=トップス 2万4150円、ハーフパンツ 2万1000円(ともにDIGAWEL ☎03-6452-3220)

 

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※阿部サダヲさんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ8月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『ぱいかじ南海作戦』

脚本・監督/細川 徹 原作/椎名 誠『ぱいかじ南海作戦』(新潮文庫) 出演/阿部サダヲ、永山絢斗、貫地谷しほり、佐々木 希 配給/キングレコード、ティ・ジョイ 7月14日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー 
●リストラ・離婚の末、南の島にやってきた佐々木。そこで4人組のキャンプ生活者と意気投合するが、持ち物を全部持ち去られてしまう。すべてを失った佐々木は島にやってきた若者たちと奇妙な海浜生活を始めて……。心躍るサバイバルムービー。
(c)2012「ぱいかじ南海作戦」製作委員会