西野七瀬さんこだわりの本は「安易に『わかる!』とは言えない攻略不能な一冊」

あの人と本の話 and more

公開日:2021/8/12

西野七瀬さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは女優の西野七瀬さん。

(取材・文=五十嵐 大 撮影=山口宏之)

 お兄さんの影響もあり、昔からマンガ好きだったという西野さんが「何度も読み返しています」と話すのは『世界地図の間』だ。

advertisement

「オススメだから読んでみて、って知人からプレゼントしてもらったんです。あまりにも不思議な世界が広がっていて、一度読んだだけでは理解できないことだらけでした。それが癖になるんです。とにかく気になって、何度も読んでいるんですけど、それでもわからないことばかりで」

 横山作品に魅了された西野さんは、過去作にも手を伸ばした。作者が生み出す独特の世界観を理解するため、そのヒントを得るためだ。

「でも、やっぱりわからなかった(笑)。横山さんに訊きたいことがたくさんありますよ。キャラクターデザイン、唐突なストーリー、哲学的なセリフ、それらすべてをどうやって生み出しているのか、教えてもらいたいです。昔は浅く読んでいても満足していたんですけど、いつからか『理解したい!』って思うようにもなりました。だから横山さんの作品は、挑みがいがあります。攻略不可能かもしれないけど、その分、何度でも楽しめるんです。きっと読者によって解釈も異なるはず。アートに近いかもしれません」

 西野さんは「作り込まれた世界観のものが好き」。それが難攻不落であればあるほど、立ち向かいたくなるのだろう。この夏出演する映画『孤狼の血LEVEL2』も、西野さんにとってはチャレンジングな作品だった。

「前作を観ていてその世界観を知っていたからこそ、オファーをいただいたときはびっくりしました。自分がそこに入っていくなんて想像もつかなくて。でも、白石監督の作品にいつか出演してみたいとも思っていたので、すごくうれしかった」

 演じたのはスタンド(スナック)「華」のママ・近田真緒。少し勝ち気で、広島弁で話す女性だ。

「これまで強い女性をあまり演じたことがなかったので、不安でした。セリフだけ強く言うことも違いますし。今作では、見た目から変えることになったんです。髪の毛を明るく染めて衣装に着替えて、現場でのお力を借りながらなんとか真緒になっていきました。まずは表情や姿勢から作り込んでいくことを意識しました。いつも、作品ごとに目標を定めているんですけど、今回はとても難しくて……。周りの役者さんやスタッフさんにたくさん助けられました。もっと力をつけていかないといけないですね」

スタイリング=市野沢祐大(TEN10) ヘアメイク=猪股真衣子(TRON)

にしの・ななせ●1994年5月25日、大阪府生まれ。2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格。以降、中心メンバーとして活躍し、2018年にグループを卒業した。『グータンヌーボ2』のMCを務めるほか、女優としての活動も目覚ましい。今夏はドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』に出演中。

あわせて読みたい

映画『孤狼の血 LEVEL2』

映画『孤狼の血 LEVEL2』

原作:柚月裕子「孤狼の血」シリーズ 監督:白石和彌 脚本:池上純哉 出演:松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬ほか 配給:東映 8月20日(金)全国ロードショー
●3年前、暴力組織の抗争に巻き込まれ命を落とした刑事・大上。その後を継ぎ、刑事・日岡は広島の裏社会を治めていた。しかし、刑務所から出所した要注意人物によって、秩序が崩れていく。絶体絶命の窮地を、日岡は乗り切れるのか――。
(c)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会