大人の“おうち時間”には、じっくり向き合える「赤兎馬」を。エスニック料理と甘い梅干しと。小説家・千早茜さんインタビュー

文芸・カルチャー

PR更新日:2021/11/20

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赤兎馬

 地域によっては緊急事態宣言が発出され、長いあいだ外でお酒が飲めなかった2021年の夏。リモートワークなどの影響で外出の機会も少なくなり、“おうち飲み”の楽しさに目覚めた人も多いのでは? そんな人に参考にしてほしいのが、美味しそうな小説やエッセイ、SNSへの投稿で話題の小説家・千早茜さんの“おうち飲み”ライフだ。秋の夜長、千早さんがともに過ごしたいと思う本・お酒・食について、お話をうかがった。

(取材・文=三田ゆき 撮影=花村謙太朗)

小説でもエッセイでも、書いているのは“関係性”。「胃が合う」ふたりの長話に合うお酒とは?

――千早さんと書店員・新井見枝香さんの美味しそうなTwitterの投稿「#胃が合う」を楽しみに拝見しています。この秋には、新井さんとの共著『胃が合うふたり』(千早茜、新井見枝香/新潮社)も発売されるそうですね。

千早茜さん(以下、千早):『胃が合うふたり』は、新井さんとふたりでごはんを食べて、そのときのことをそれぞれに書いたエッセイです。視点の違いを楽しんでもらえるといいなと思っています。実は、新井さんは以前、「薩州 赤兎馬」の公式サイトに載っているエッセイのお仕事をしたときに、「ひとりでは飲みきれないから」と、我が家に「赤兎馬」を持ってきてくれたんです(笑)。「赤兎馬」にはたくさん種類がありましたし、ふたりでいろいろな飲み方を試しましたね。

 私と新井さんは、ふたりで会うとだらだらしゃべって、すごく長い時間──たとえば5、6時間、ずっと食べているので、ビールや日本酒を用意していてもすぐになくなってしまうんです。その点、「赤兎馬」は、ロックで飲んだり、割ったりと、飲み方を変えて長く飲み続けることができるので、とてもいいなと思いました。秋の夜長にぴったりの、長話に向いているお酒ですね。

千早茜

――エッセイなどを拝読すると、おうちで過ごす時間が大好きとのこと。おうちでは、お酒とどのようにつき合っていらっしゃいますか?

千早:お酒を飲むときは、映画を見ることが多いかもしれませんね。本は、つい仕事の目でメモを取りながら読んでしまうので…。最近は、緊急事態宣言中だったこともあって、友達や恋人など、限られた親しい人と一緒に飲むことが増えました。お酒に合わせる食べものは、欲望のままに、食べたいものを食べています(笑)。せっかく生きているんだから、毎日楽しく、美味しく食べたいなと思いますね。

――『西洋菓子店プティ・フール』(文藝春秋)や『わるい食べもの』(ホーム社)など、食にまつわる作品も多い千早さん。「食」をテーマに言葉を紡ぐときのこだわりや、難しさをお聞かせください。

千早:小説は一人称で書くことが多いので、自分の好きなものばかりを書かないように気をつけています。例えば、「この主人公だったら、だいたいこれくらいの収入だから、外食は週に何回くらいだろう」という設定をし、「外食をするときはこういう居酒屋かな」「こんな調味料は使わないはずだ」などと判定していく感じです。小説において大切なのは、そういった客観的な整合性です。自分の冷蔵庫の中身で考えないようにしたいと思っていますね。

 反対に、エッセイは主観でしか書けませんが、そのぶん編集者さんがしっかりとチェックしてくださいます。小説もエッセイも、私は“関係性”を描くことが多いですね。『胃が合うふたり』も、食べものエッセイであると同時に、新井さんとの関係性のエッセイであると思っています。約2年、一緒にごはんを食べに行き続けているうちには、いろいろなことがありました。コロナ禍などによる状況の変化もありましたし、食べ方、飲み方、食べものに対する考え方も、やっぱり変わっていきますから。

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本も食もお酒も、ひとつのものから次へとつながるものを見出す

千早茜

――千早さんが考える、「お酒に合う本」をご紹介ください。

千早:『センセイの鞄』(川上弘美/文藝春秋)は、今回、取材を受けるにあたって読み返して、大泣きしてしまったくらい好きな本です。主人公・月子の想い人であるセンセイは、はじめ、月子の酌を受けるのを嫌っているのですが、ふたりの関係が変わっていくと、酌を許すようになる。月子とセンセイはすごく歳が離れていて、やがて来る別れの予感もあるのですが、好きな人がいて、一緒にお酒を飲んでという「一緒にいる瞬間の輝き」を、静かにていねいにすくい上げている、とても綺麗な物語です。川上弘美さんの作品に登場する大人は、ちょっとだめな感じでかわいいですよね。大人でも、ちょっとくらいだめだったり、ぐずだったりしてもいいんだって、肩の力が抜けるような気がします。

 もう一冊ご紹介したいのは、川上弘美さんのエッセイにも出てくる『檀流クッキング』(檀一雄/中央公論新社)。ひたすら料理の作り方を紹介するエッセイですが、そのレシピがいい意味で適当なんです。料理って、本当はこれくらいいい加減でいいんですよね。そのほうが楽しいだろうし。ただ、小説家になってこの本が本当にすごいなと思うのは、料理の作り方を書いているだけなのに、これだけ読ませるものに仕上がっているということ。しかも、小麦粉のことを「メリケン粉」と言うような時代に男も女もなく料理をされていて、「出来上がりには、チーズ・クラッカーでも散らすがよい」なんて口ぶりにしびれます。せっかく小説家になれたので、このくらいの無頼にはなりたい(笑)。

――本を選ぶときと、お酒や食べものを選ぶときは、なにか共通点がありますか?

千早:まさに紹介した2冊もそうなのですが、『センセイの鞄』を書かれた川上弘美さんのエッセイを読んで、そこに登場した『檀流クッキング』を読むというように、そのときに触れているものから、次へとつながるものを発見することがあるというところです。

 料理をするとき、使ったことのない食材を買ってみて、一度食べてから「こんな調理法のほうが美味しいかも」とひらめいたり、その食材を使ったレシピを調べて、「この料理家さんとは舌が合うから追いかけてみよう」と思ったりすることがありますよね。本もお酒も、それから料理も、ひとつのものからどんどん派生していくという点に、共通項があるような気がします。大きなボトルにたっぷり入っている「赤兎馬」シリーズも、1本をいろいろな飲み方で楽しんだり、さまざまな料理に合わせたりしているうちに、新しい発見がありそうですよね。

芋の余韻がふくよかな「赤兎馬」は、大人の“おうち時間”を過ごせるお酒

千早茜

――「薩州 赤兎馬」の味わいは、どのような印象でしたか?

千早:実は芋焼酎は初めて飲みましたが、「赤兎馬」シリーズはすべて、芋の余韻がとてもふくよかですね。なかでも黒地に赤文字ラベルの「薩州 赤兎馬」は、ストレートで飲むとキリッとしたキレのよさが味わえますし、軟水で水割りにすると、すごくまろやかに感じられます。料理は、京都祇園新地 いづうさんの「鯖姿寿司」や、蒸し茄子といった和食を中心に合わせてみました。

 私は中学生のころ、「赤兎馬」のふるさとである鹿児島県に住んでいたことがあるんです。「薩州 赤兎馬」は、そのときに食べて美味しかったきびなごのお刺身や薩摩揚げ、黒豚など、鹿児島の食べものに合いそうだと感じました。私にとっては、懐かしさを覚える味ですね。

――黒地に赤文字ラベルの「薩州 赤兎馬」のほかにも、「赤兎馬」シリーズには、フルーティーな「紫の赤兎馬」や、金木犀を想わせる香りの「薩州 赤兎馬 玉茜」、「赤兎馬」をベースに梅や柚子の風味を味わえるリキュールなど、豊富なラインナップがあるんですよね。「紫の赤兎馬」の味わいはいかがでしたか?

千早:「赤兎馬」シリーズのなかでも、香りが一番華やかでしたね! 芋特有のフルーティーな香りって、トロピカルな香りに通じるものがあるのかもしれません。ナンプラーやスイートチリソースで食べる生春巻き、パクチーのサラダなどのエスニック料理を合わせていただいたのですが、これが意外と合いました。よく考えると、ベトナムやタイにも焼酎の文化があるんですよね。新しい発見でした。

千早茜

――「薩州 赤兎馬 玉茜」をお飲みになった感想は?

千早:甘くてやさしく、私は一番好きでした。ふだん焼酎を飲みつけないという人にもおすすめできるタイプです。今回飲ませていただいた「赤兎馬」シリーズは、焼酎ですし、すべて梅干しが合うなと思いましたが、とくに「薩州 赤兎馬 玉茜」には、のし梅のような甘い梅が合いそうですね。落ち着いて語り合いながら飲めそうなお酒だと思います。そのほか、はちみつをちょっと入れた牡蠣の白和えも、すごくよく合いました。甘みがあるもの、フルーティーなものと相性がいいのかもしれません。

――SNSにも投稿されている美味しそうなお酒と料理の写真、憧れます。千早さんのように“おうち時間”をリッチに味わうための、コツやアドバイスはありますか?

千早:そうですね……「乾物を戻そう」かな。私も今日はこの取材のあいだに、家できくらげを戻しているのですが(笑)、外食に誘われることが少ない今だからこそ、干し椎茸や乾燥豆などを買ってきて、ゆっくりと戻す贅沢な時間を楽しんでみてはどうでしょう。乾物を戻しているあいだに、本を読んだり、お酒を飲んだりもできますしね。水に浸しておく時間を長く取れるなら、白米にお好みの雑穀をブレンドして炊く雑穀ごはんも楽しいし、美味しいですよ。

 実は私も、『センセイの鞄』のセンセイと一緒で、お酒を他人に注がれることがあまり好きじゃないんです。だから友達が家に来ると、お盆の上にお酒と氷、水を揃えて「自分でお酒を作るスポット」を整えておき、好き勝手に飲んでもらうんですよ(笑)。おうちで、自分好みの濃さや飲み方で、じっくりと向き合いながら飲める──大人の“おうち時間”が過ごせる焼酎、いいなあと思いますね。

千早 茜(ちはや・あかね)●1979年、北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞、デビュー。同作で泉鏡花文学賞、『あとかた』で島清恋愛文学賞、『透明な夜の香り』で渡辺淳一文学賞を受賞。著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』など多数。近著に『ひきなみ』『胃が合うふたり』(共著)がある。