1年でマイナス20キロ! ゲッツ板谷の絶対安全ダイエット

新刊著者インタビュー

更新日:2013/12/4

絶対に体を壊さない リバウンドもしない

 ダイエットに踏み切ったきっかけは、高血圧と診断されたことだった。

「寝不足で運転して事故を起こしたんです。幸い無傷だったんですけど、一応病院に行ったら看護師が何度も血圧を測るんですよ。しつこいなと思ったら『あなた、血圧が220あります』って言われて。翌日別のところで測ったら、やっぱり220。寝不足じゃなくて血圧が原因だった(笑)。それで『痩せないと駄目だ』という話になったところに、この企画の話が来たんです。抜群のタイミングでしたね」

 それ以前にも大病は経験している。42歳のときに脳出血を体験したのだ。これはやはり肥満が原因の1つだろう。2カ月近く意識がない状態が続いた後で奇跡のカムバックを果たしたものの以前の体力は戻らなかった。

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「脳出血からの5年間が辛かったんですよ。脳出血の後遺症で記憶障害が残って、マックスの力で原稿が書けない。病気の前はガーッと集中して書いて、終わったら『あれ6時間経ってた』なんて普通だったんだけど、記憶障害があるから『あれ、なんていう名前だっけ?』みたいなのが絶えずあるんですよ。走りながら5メートルおきにつまずく感じだから、全然ターボがかからない。そういう状態が続いたんで、2、3年前にライターを辞めようかなと思ったこともあったんです。「飯作るのが好きだし、定食屋やろうかな」とか(笑)。ようやく最近になって戻ってきた感じですね。自分にそういう時期があったから、企画として痩せるのはもちろんだけど、この本を読んだ人が絶対リバウンドしない本にしようということが最初から頭にありました。そのために必要なのは無理をしないことだと」

 ダイエットの怖いところはリバウンドもさることながら、過度の努力の結果体を壊したり、摂食障害になったりする場合があることだ。そうならないヒントも本書には含まれている。

「ダイエットを続けるうちに食わなくても平気な状態が来たんですけど、食べないことを頑張りすぎると絶対に後でリバウンドする。だから『食べなくてもいいや』と思っているときにも、あえて食べるようにしたんです。運動にしても、『もうちょっとできるな』と思ったときには、あえてそこで止める。それがよかったんだと思いますね。無理をしないから、ダイエットが終わっても『うわー! やったー!』という感じじゃないんですよ。打ち上げで編集者と焼肉に行ったんだけど、カルビを2人前食ったら『もういいや』って、なんの盛り上がりもない(笑)」

 企画を終えた今も、食べたいものは食べるという生活をしている。太らない生活習慣が身についたからだ。

「昔は野菜なんて食うやつはバカだと思ってたんですよ。『同じ値段を出せばドリアとか、もっと美味いものが食べられるのに』と思って。でも最近は自分も野菜サラダとか注文するようになりました(笑)。食べたいものは我慢しないで、昼飯のときに食べちゃうんですよ。午後2時前後に食べたものは、その日のうちに全部燃焼してしまうらしいんで。だから生活も朝型になりました。脳出血をやって『ここからはオマケの人生だ』と割り切ったせいか、逆に仕事も楽しくなってきましたね」

 ダイエットの真の目的は、日々の生活の無駄を省いて楽に生きること、なのかもしれない。

「冷静に考えると、朝起きて15分後に牛丼特盛り食ってた俺はなんだったんだろうって。『力仕事でもないのに、なんでそんなにカロリーがいるんだよ!』と昔の自分につっこみたい(笑)」

(取材・文=杉江松恋 写真=ホンゴユウジ)

紙『やっぱし板谷バカ三代』

ゲッツ板谷 / 角川書店 / 620円

かつて立川に伝説の一家がいた。祖母から孫まで受け継がれたバカの伝統はあまりに濃く、近隣住民に怖れられるほどであったという。だがその板谷家でも過ぎ行く時を止めることはできなかった。一家の要である母親が癌を宣告されたのだ。好評エッセイ『板谷バカ三代』第2弾。変わらぬ笑いと、純粋な家族愛の物語をあなたに。

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