超科学、超能力、魔力… 犯人を捕まえるためには何でもあり!? な推理漫画まとめ

マンガ・アニメ

2018/12/22

 推理小説を書く際のルールともいえる「ノックスの十戒」や「ヴァン・ダインの二十則」というものがあります。どちらも、今から90年以上前に提唱された古典といえるものですが、これらを守った推理小説が、本格的と呼ばれることが多いのも事実です。

 もちろん、近年では、この十戒をほとんど無視した推理小説も珍しくありません。ということで、本稿ではそんな推理小説の基本ルールを豪快に破りながらも、だからこそおもしろい!という作品を紹介したいと思います。

■怪異を鎮めるために、構築される推理とは?

 超自然的な存在が出てきた時点で、いわゆる正統派な推理というのは成り立たなくなるわけですが、そんな存在に対処するための方法として推理が必要とされる、というまさに異色といえる作品が『虚構推理』(城平 京:原作、片瀬茶柴:漫画/講談社)です。

 妖怪など超自然の存在が実在し、それらの存在から頼りにされる少女と、逆にそれらから恐れられる青年が、人間ではなく、超自然の存在を依頼人として問題を解決していくわけですが、一見すると何でもありのように思える妖怪などの怪異にたいして、力ずくではなく、神秘の力を使うのでもなく、推理と理論で立ち向かっていきます。なぜ、超自然の存在に対処するために推理がいるのか? ぜひご自身で読んで確かめてみて下さい。

■事件を解き明かすのは量子コンピューター!

 現在も開発が続けられている次世代コンピューターである量子コンピューター。もし完成すれば、現在利用されているデジタルなセキュリティは、すべて無効化されるほどの圧倒的な性能を持つとされています。そんな量子コンピューターを脳に移植された少年が、その圧倒的な能力で事件を解決していく『超推脳 KEI~摩訶不思議事件ファイル~』(五味一男:原作、田中克樹:漫画、水野光博:シナリオ/小学館)は、主人公は一目見るだけでほとんどの事象が分析できるという反則的な能力を持っているために、解き明かす事件の内容も、それにふさわしく、どれもが荒唐無稽なもの。難関な事件をあっさり解き明かしていく力業を楽しむのはもちろんですが、量子コンピューターにも解けない謎は作れるのか?と考えながら読むのもオススメです。

■探偵とは? 推理とは? その価値観を大きく揺るがす怪作

 推理物に必須ともいえる探偵。探偵が国家的に認められ、まるでヒーローのようにその特色を活かして活躍する世界で、名探偵が大量虐殺されるという事件が発生します。そして、その事件に挑むのは、「天からの声で犯人を知る」「犯人が書かれた予言書を持つ」「死体とキスすることでその身元だけでなく犯人も知る」という反則的な能力を持った3人という、まさに推理物のお約束に真っ向から立ち向かった作品が『探偵儀式』(清涼院流水:原作、大塚英志:原案・脚本、箸井地図:作画/角川書店)。

 原作者である清涼院流水氏は、ミステリの定石からあえて外れるという特色を持った推理小説家ですが、こちらの探偵儀式はまさにその極北。人を選ぶ作品ではありますが、はまる人はどっぷりとはまること請け合いです。

■絶妙なバランスで推理物としても成立している名作

 物に触れることで、そこに秘められた記憶を読み取る能力「サイコメトリー」。アメリカなどでは、この能力を持った人物が実際に捜査にも協力しているなどという話がありますが、そんな能力を持った主人公が謎を解き明かしていく作品が『サイコメトラーEIJI』(安童夕馬:原作、朝基まさし:漫画/講談社)。

 サイコメトリーによって得られる情報を断片的なものにすることで、超能力を使いながらも推理物としてのバランスを取り、犯人を推理する楽しみを残してくれています。そのバランス感覚の妙もありテレビドラマ化されたり、第1部が完結してから、10年以上たってから続編がはじまるなど、今でも高い人気を誇っています。異色でありながら、本格推理にも近いという名作です。

■777の魔界能力(どうぐ)で全ての謎を解き明かす

 異色の推理漫画は、どれもが正統派とは異なった強引な解決法を使うために、トリックの内容よりも犯人のキャラクターや、その異常性が強調されがちですが、その中でも『魔人探偵脳噛ネウロ』(松井優征/集英社)は、群を抜いて犯人のキャラクター描写が秀逸といえる作品です。

 最終的には、圧倒的な能力で事件は解決するわけですが、それに負けないほどインパクトのある犯人が次々に登場してきます。このように表現するとギャグ漫画よりのように思えるかもしれませんが、全体としての構成は非常に緻密に考えられており、しっかりとした伏線が張り巡らされ、最後にはそれらがきっちりと回収されていきます。異色でありながらも、推理物らしさを感じさせる傑作といえるでしょう。

 本稿で紹介した漫画は、まさに異色作ばかりですが、枠を壊し、そこから飛び出したからこそ得られる魅力というものが秘められています。そのエネルギーや新しい発想はもちろんですが、なにより推理物が持っている無限の可能性を感じることができるでしょう。思いがけない出会いがあるかもしれません。

文=龍音堂