日本人はなぜ“海外からの評価”を気にするのか? 【サンドラ・ヘフェリンさんインタビュー後編】

社会

更新日:2015/3/4

海外からどう見られているか? というテレビ番組や本が日本で人気の理由

――最後に「日本が海外からどう見られているか」というテーマの番組や書籍が人気の理由はなんだと思いますか?

 身近に外国人がいない。そのため、どう思われているか、どうしても「想像」の部分が大きくなる。やっぱり毎日、ロシア人、アメリカ人、中近東の人、東南アジアの人と接していたらどう思われているかを考えるまでもなく、そこでわかってしまう。日本人はわからないから、こういう本を読んではじめて海外を知る人も多いんじゃないかなと思います。

 もちろん外資系に勤めて外国人と接する機会が多い人もいるけれど、そうじゃない人も多い。例えば、英語を習いに英会話教室へ行く。その先生は外国人かもしれない。だけど、はたして外国人の先生と授業以外のところでたくさん話すかと言うと、そうでもない。なので、結局は想像の部分が大きくなってしまう。想像の部分が大きいから、その答えであるテレビや本に興味を持つのかなと思います。

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 恋愛もそうですが、たくさん関わると人間ってあまり想像しなくなりますよね。恋愛は、週に1度だけ見かける人だと、あの人ってどういう人なんだろう、などといろいろ妄想します。でも、結婚して30年も経つと妄想もなくなっていくらしいです。毎日見ているからですって。なので、ヨーロッパの人が外国人に対してすごくドライなのは、あれだけいろんな国の人々と毎日、会っているから。すでに「日常」になっている。

 港区や、渋谷区なんかはそんなことないかもしれない。だけど、地方に行くとそうなってしまう。外国人自体の数が少ないから。だから、やっぱり、興味を持つとなるとテレビとか本とかそういったものになるのかなって。なので、もし日本にいろんな国の人が長期で押し寄せて来たら、こういう本は流行らなくなるのかもしれないですね。

 確かに、外国人が周りにいる環境が当たり前になっていれば気になることない。言われてみれば納得の答え。なのに、日本生まれ日本育ちの人にとっては気付きにくい。

 日本人は海外からどう思われていうの? というテーマで、テレビ番組ができたり、本が作られたりしているうちは、まだまだ日本のグローバル化が進んでいない証拠なのかもしれない。

文=舟崎泉美