“遊び”に人生をかける“怪物”たち! 岸田繁(くるり)、前田敦子、綿矢りさを魅了した犬童一心の初小説『我が名は、カモン』

文芸・カルチャー

2016/12/28

 「ジョゼと虎と魚たち」、「のぼうの城」など数々の名作映画を手がけた映画監督・犬童一心の初小説『我が名は、カモン』が2016年12月20日(火)に発売された。

 “加門慶多”(かもんけいた)、本名・郷田好則は大学を中退した元演劇青年。劇団に入り、先輩に呼び出され芸名をつけられたものの、俳優としてはものにならなかった。だが今や50代になった加門は、大手「自由演技」のシニア統括マネージャー。とはいっても加門のもとには、昼夜を問わず、難問奇問、数々のトラブルが持ち込まれる―。古希を迎える大御所俳優“滝川大介”が突然引退したいと言い出したかと思えば、シリーズCM「五代目マキタガール」に抜擢された若手女優“山下梓”は制服を着たくないと撮影現場でストライキ。そして挙句の果てには、40年前に第二幕までしか書けずに失踪した伝説の劇作家“遠山ヒカル”を見つけ出して、幻となった芝居「我が友、世界へ」の最終幕を、たったひと月半で書かせ、上演することになり…。

 加門と新人“中村祥子”の二人は、岡山の山奥の村へと向かう。そしてようやく遠山を見つけ出し東京のホテルに缶詰にすることに成功。はたして加門と中村は、この怪物に、第三幕を書かせることができるのか…!? 物を創ることに取り憑かれた“やっかいで愛すべき人たち”を描き出す痛快長編となっている。

 同書を読むと、本来人間は「ホモ・ルーデンス=『遊戯人』… 遊びのなかで文化を創り出す存在」であることを思い起こさせてくれる。「芝居は英語で『PLAY』だろ。まず、上手に遊べてるかどうかなんだよ」という滝川の言葉通り、絶えず真剣に遊べるかどうかが行動の基準である登場人物たち。その熱量はハンパない。このアツい物語に、各界からも絶賛の声が届いている。

芝居が天職! な人間たちの、究極にわがままで究極にエネルギッシュな物語。綿矢りさ

お芝居への情熱がとにかく熱いこの「世界」に私も巻き込まれたい!!前田敦子

お芝居の世界が少し羨ましくなるような物語。音楽の世界でもこういう物語あるといいなあ。岸田繁(くるり)

 さらに、著者の犬童からもメッセージが届いている。

「怪物と、そして祈り」。夢を諦めた人間が、自分の立つべき居場所を探す。そんな中年と若人二人組の話を書いてみました。その行く手を阻む「怪物」たちとの奮闘が描かれます。主人公の加門がある人物を「怪物」と評する時、そこには強い「畏怖」があります。恐れと共に「尊敬」が溢れるのです。
私もまた、そんな「怪物」たちと出会ってきました。森繁久彌さん ミヤコ蝶々さん 青島幸男さん 市川準さん 山崎努さん 山田洋次さん 大林宣彦さん 横尾忠則さん 細野晴臣さん 田中泯さん 沢田研二さん。その人たちの持つ「遊ぶ」ことへの真剣さに感心し、自由で、力強い振る舞いに感動し、そして若かった私への優しさに感謝しました。おかげで、身の程を知り謙虚になれたと思います。
「怪物」たちは、「戦後」という荒波に向かって出港し、格闘し、追求し、自分の居場所を探し当てた開拓者です。孤独を引き受け、新天地にしっかりと足を踏ん張り多くのことを私たちに指し示してくれました。凡人の私は運良く共にいても、その人たちが何かをなすとき、ただ祈ることしかできませんでした。もちろん必死に祈りましたが…。そんな自分を、芸能マネージャー加門慶多に重ねて書きました。楽しんでいただければと思います。犬童一心

 現在、河出書房新社の本のポータルサイト「Web河出」では、第1章の冒頭を公開中。著名人たちも絶賛する、アツい内容に目を通してみてはいかがだろうか。
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犬童一心
映画監督、CMディレクター、脚本家。1960年東京生まれ。監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「黄色い涙」「眉山─びざん─」「のぼうの城」(共同)など。脚本作品に「大阪物語」「黄泉がえり」などがある。

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