寺島しのぶ「自分がどうしてもやりたいということが明確になってきました」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回は、映画『シェル・コレクター』で盲目の貝類学者(リリー・フランキー)を翻弄する謎めいた女を演じた寺島しのぶさん。「体重を20キロ増量して、肉子ちゃんを演じられないか」とまで思った西加奈子の傑作『漁港の肉子ちゃん』との運命的な出会いを振り返る。
「『漁港の肉子ちゃん』を読んだのは、東日本大震災のすぐあとだったと思うんです」 ブログによれば、それは寺島さんが一関へと向かう新幹線の車中だった。2011年9月21日、この日は一関から気仙沼の仮設住宅へ、翌日は陸前高田〜大船渡の小学校へ向かった。 あとがきで西加奈子さんが自ら書かれている通り、『漁港の肉子ちゃん』の舞台は宮城県石巻市がモデルになっている。連載中に3・11が起こり、それでも書き続けられたこの小説を携えて、寺島さんは被災地に向かったことになる。 この時のブログには「読みながら、大船渡の魚市場を思い出しました。はやく活気のある街に戻ることを切に願います。『漁港の肉子ちゃん』は…