石川啄木の短歌が「今の言葉の歌」に!! とにかくおもしろくて笑えます
「石川くん」と言われて、すぐに「石川啄木」を思い浮かべる人は、まずいないと思います。「石川くん」なんて言ったら、ちょっとなれなれし過ぎますものね。
ところが、「石川くん」というタイトルのこの本は、歌人である枡野浩一さんが、石川啄木への愛と尊敬を込めて、石川啄木の短歌を紹介したものなんです。「愛と尊敬を込めて」と書きましたが、その愛情の裏返しといいますか、この本で著者は、「石川くん」をちょっとからかったり、石川くんの遊び人ぶりを暴露したりしています。
「友達が俺よりえらく見える日は 花を買ったり 妻といちゃいちゃ」
これが本書で紹介される1作目の短歌。この本ではまず、枡野浩一さんが、石川啄木の短歌を現代風にわかりやすく、そして、ちょっとおもしろく、書き換えているんです。書き換えた短歌の後には、元の短歌が縦書きで、そして、さらにその後に、横書き(カタカナ)で記されています。石川啄木の短歌は、「当時の普通の言葉」が使われているという点で実験的な作風として知られていたのですが、その石川啄木が今の時代に生きていたら、どんな言葉で歌をつくるのだろうと考えた著者が、…