「うちの3姉妹」が全員成人に! 将来に悩む娘たちが愛おしい、シリーズ累計492万部超の大人気コミックエッセイ『ぷりっつさんち』

マンガ

公開日:2022/10/29

ぷりっつさんち
ぷりっつさんち』7巻(松本ぷりっつ/主婦の友社)

 約3年ぶりにあの3姉妹と愉快な家族の物語が帰ってきた……! 大人気コミックエッセイ『ぷりっつさんち』(松本ぷりっつ/主婦の友社)の7巻が発売されたのだ。

 著者・松本ぷりっつ氏の娘である長女フー、次女スー、三女チー。2006年、この個性的な3姉妹を描いた『うちの3姉妹』(主婦の友社)の単行本が発売されると、彼女たちの予測不能な言動やボケっぷりがウケてたちまち大人気作品に。テレビアニメと劇場用アニメ、さらにゲームまで製作されるなど、大ブームとなった。

 本作は『うちの3姉妹』の続編にあたる。彼女たちがその魅力である面白さを保ったまま、すくすくと成長してきた様子が楽しめるのだ。本稿ではシリーズ累計492万部超の大ヒットコミックエッセイの魅力を、最新刊の内容とともにご紹介する。

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ぷりっつさんちの3姉妹は大きくなっても面白い!

“おっぺけ”な3姉妹と父母、そして犬と猫3匹の日常エピソード集が『ぷりっつさんち』。日常といってもいずれも爆笑するレベルで、『うちの3姉妹』のスタートから今まで20年近く、よくこれだけ笑えるエピソードが続くな……と感心してしまう。

『ぷりっつさんち』7巻 p.21

 何はなくとも本作の魅力は3姉妹だ。まず現在のフー、スー、チーを簡単に紹介する。

長女・フー
小さいころから突拍子もない言動が笑える長女。2000年生まれ。テキトーだが前向きな性格。小さいころから人とずれているおっぺけガール。ずっと創作活動が大好きで美術大学に入学した。

次女・スー
2002年生まれ。小さいころから人見知りで心配性、ビビリの次女。言い方を変えれば何事もきちんとしている生真面目な性格だ。高校進学後も大好きなバレエを続けた。

三女・チー
2004年生まれ。『うちの3姉妹』で赤ちゃんだった三女も高校3年生に。相変わらず末っ子気質で甘えん坊&ワガママだが、実は自立心が強く勉強家。読書が好きでボキャブラリーが豊富である。

 2012年に発売された単行本1巻では全員ランドセルを背負っていたが、今やフーは22歳、スーは20歳、チーは18歳である。成人年齢が引き下げられたので、3姉妹は全員成人なのだ。そんな彼女たちの“今”とは……。

親も犬にも注目! そして成人を迎えた3人の進路とは……?

「ぷりっつさんち」は3姉妹だけではない。親(母である松本ぷりっつ氏も!)と、愛犬と3匹の猫たちにも注目だ。特にトイプードルのミスターキューティパトゥティと母との黄金コンビは個人的にツボだった。人間の子どもは心身ともに成長するが、犬は少しアホでカワイイまま、それがいいのである。

『ぷりっつさんち』7巻 p.81

 とはいえ7巻のハイライトはやはり、長女と次女が自分の進路を決めるところだ。フーは美大を卒業する時期を迎える。ぷりっつ氏がやりたい仕事をたずねると「天才ハッカーとかかっこいいな」などと答える相変わらずのおとぼけっぷりであった。

 いよいよ本気で就職を考えたフーは「イラストレーターになりたい」と一念発起。グラフィックデザイン専攻だったのに! と父母とともに、読んでいるこちらも心配になった。

 絵を描く仕事をしながらやりたいことをやる、と現実的な路線へ舵を切ったものの、就職活動の厳しさは想像以上で……フーの就活奮闘記の結末やいかに。

『ぷりっつさんち』7巻 p.112

 そして2022年には20歳になっているスーもまた、高校卒業時には人生の岐路に立たされていた。彼女は3姉妹で始めたバレエを、ひとり高校生になっても続けていた。「いつかバレリーナに」という夢をもつスーは、高校生になるとバレエに対するストイックさに磨きがかかり、コツコツ努力を積み重ねてコンクールにも出場していた。7巻ではたっぷりとページを使って、小さいころからのバレエの模様を振り返っている。

 しかし学校の友だちが受験勉強をがんばっているのを見て、将来について思い悩みはじめる。大学へ行きながらバレエを続けるのか、すっぱりとバレエをやめるのか……ぷりっつ氏と父と3人で思い悩んだ末に、スーが出した結論とは?

『ぷりっつさんち』7巻 p.50

 末っ子のチーは高3で、大学受験を控えて勉強中だ。繰り返しになるが、あの3姉妹が全員成人である。『うちの3姉妹』で止まっていた方がいきなり読んだら衝撃を受けるかもしれないし、長年のファンは我が子のことのように感慨深くなるはずだ。本稿のライターは、彼女たちの記録であるマンガやアニメを見返したくなった。

 赤ちゃんのころから成人するまでの成長を描き続けてきたリアルコミックエッセイは、もはや大河ドラマである。とある家族の笑えて泣ける物語を、ぜひ楽しんでほしい。

文=古林恭

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