ひとりで家族5人分のご飯作りは「もうしんどい!」 悩める3児の母がフードライターに相談。“自分だけが無理をしないご飯作り”に気づくコミックエッセイ

マンガ

公開日:2023/7/27

料理は妻の仕事ですか?
料理は妻の仕事ですか?』(アベナオミ:著、白央篤司:監修/KADOKAWA)

 なぜ、私ばかりがキッチンに立たなければならないんだろう。たまには料理をサボりたい…。そうモヤモヤしながらも家族のために日々、料理をしているママは多い。

 そんな頑張り屋のママにこそ、手に取ってほしいのが、料理との向き合い方を考えさせられる『料理は妻の仕事ですか?』(アベナオミ:著、白央篤司:監修/KADOKAWA)だ。

 本作はイラストレーターであるアベさんが、自身の体験を通して、ママの心に潜む「手作り料理=愛情」という思いこみを剥がすコミックエッセイ。キッチンに立つたび、「頑張らなければ」と「頑張れない」の間で苦しむママは、自分だけが苦しまなくてもいいご飯作りを見つけられる。

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ご飯作りがしんどい! 3児のママが見つけた“家族の自炊力アップ法”

 アベさんは、中1の長男、小1の次男、年少の長女を持つ3児のママ。日々、仕事に追われながら、家族5人分のご飯をひとりで作っていた。

 お肉派とお魚派に分かれる家族に配慮して、メインのおかずはいつも2種類。家族の体の大きさを考慮し、メインのおかずは切り方を変え、各々が好きな味付けに。加えて、副菜やみそ汁も同時進行で作るのが、アベさんにとっての“いつものご飯”だ。

 1日3食、家族のご飯を作り続けるのが、しんどい。たまにでいいから、夫にも料理をしてほしい…。そう思ってはいたものの、子育てや料理以外の家事に協力的な夫の姿を見ると、自分の願いは贅沢なように思え、口にできない。

 だがある日、仕事仲間と3人でオンライン打ち合わせをした時、みな母親として日々のご飯作りに悩みや不満を抱えていることを知る。

 現状を変えたいと思ったアベさんらは、自炊初心者に斬新な視点で食生活改善法をアドバイスする、ベストセラー『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』(光文社)の著者・フードライターの白央篤司さんに相談。夫が料理に躓いてしまう理由や家族の自炊力を高める方法を学ぶことにした。

 まず、白央さんが勧めたのは、料理がしんどい日はその気持ちを素直に家族へ伝えること。相手が子どもであっても真剣に「外食へ行きたい」など、自分が楽になる選択を話すことが大切なのだという。

 また、自炊力は「買い物に行き、その場で献立を決められる」や「買ったものと家にあるものを取り混ぜつつ、数日の献立を作りまわす」など、さまざまな能力があってこそ発揮できる総合力であると白央さんは指摘。

 だからこそ、それを完璧にこなそうとするママにしんどい日があるのは当たり前で、自炊初心者にいきなり、「料理を作ってほしい」と言ってもハードルが高いと感じられてしまうのだ。

 そこで、白央さんは、自炊初心者の家族にはまずお米を炊いてもらおう、と提案。ご飯があれば、冷凍食品のおかずをつけても一食になり、「おかずを作ってほしい」よりも頼む側も頼まれる側も心理的ハードルが低くなるからだという。

 こうしたアドバイスを受け、アベさんらは早速、料理がしんどい気持ちを家族に吐露。すると、その勇気ある一歩を機に、夫や子どもたちの態度に変化が…。アベさん自身もご飯を手作りすることだけが愛情の形ではないということに気づき、毎日の食事に対する心境が変わっていく。

 学校の教科と同じで、料理も向き不向き、得手不得手がある。だから、料理が苦手な人はいかに省力するか考え、できる範囲で食と向き合えばいい。そして、料理が好きであっても、作るのがしんどい日は、その気持ちを素直に見せ、自分がつらくない食事を家族と楽しめばいい。

 そう訴えかける本作と出会い、心が軽くなるママはきっと多いだろう。ひとりで悶々としながらキッチンに立ち続けるのではなく、イーブンな関係である家族と協力し合いながら“我が家の味”を作っていってもいいのだと思うことができると、家族と囲む食卓は、もっと楽しくなりそうだ。

 なお、本作には家族の自炊力をアップするコツを盛り込んだ、白央さんのコラムも収録。憂鬱なお弁当作りを楽にする考え方や家族からのおいしいを聞きたい時の解決策など、あるあると言いたくなる悩みを解決するヒントも紹介している。

 私たち家族には、どんな協力態勢が合うだろうか。そう考えながら、キッチンをつらい場所にしなくてもいい、ご飯作りを探してほしい。

文=古川諭香

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