魚ってこんなに美味しいの!? 今すぐ試したくなる魚介料理のコミックエッセイ『カンタンなのに家族に人気のお魚おうちごはん』

暮らし

公開日:2024/2/10

カンタンなのに家族に人気のお魚おうちごはん
カンタンなのに家族に人気のお魚おうちごはん』(モチダちひろ/KADOKAWA)

 魚介が健康にいいというのは周知の事実だが、肉に比べて下準備にかかる手間も時間も多く、ついつい肉を選択してしまいがち。でも魚介が嫌いなわけではないし、健康への効果も享受したい。もっと気軽に魚介を摂取できればいいのに……。『カンタンなのに家族に人気のお魚おうちごはん』(モチダちひろ/KADOKAWA)は、そうした魚料理への苦手意識をふっ飛ばしてくれる、超簡単でおいしいレシピを紹介している一冊。

 本作は、KADOKAWAのコミックエッセイ編集部が毎年2月と8月に開催している「新コミックエッセイプチ大賞」で大賞を受賞した『三十代 ピンピンころりが目標です』がベースにあり描き下ろされた魚(魚介)料理コミックエッセイ。受賞作が健康系(ダイエット系)の作品であるだけに、魚に含まれるDHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸、ミネラル、たんぱく質、ビタミンなどの栄養、それらがもたらす健康への効果についても詳しく分かりやすく書かれている。

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 福岡の海辺で魚を食べて育った著者・モチダちひろさんは、一時はお手軽さから肉派に傾いていたものの、釣り好きの男性と結婚して家庭を持ち、改めて魚料理に目覚めたそう。その中で、無理なく頑張りすぎずに魚料理を取り入れる方法、大人から子どもまでおいしく食べられる調理法を模索してきたという。

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 筆者の家も、自宅で魚料理を作る頻度は肉料理の十分の一程度しかなく、むしろ回転寿司へ行く機会の方が多い説まである。でもダイエット効果やアンチエイジング効果も期待できるし、本当はもっと気軽にいろんな魚料理を作ってみたい。例えば、第1話で紹介されている「太刀魚」。

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 太刀魚がスーパーに売られているのはたまに見かけるが、自分が気軽に買うかと言われると正直買わない。だがこうして具体的にレシピを示してもらえれば、「これなら肉派の家族もおいしく食べてくれるのでは!?」という気がしてくる。買ってみたい。梅干しと大葉のサッパリ感とサクサクの衣、ふわふわの太刀魚なんて、間違いなくおいしいはず!

 また、魚が一匹丸ごと手に入った際には、スーパーの鮮魚コーナーにお金を払えば、持ちこんだ魚を捌いてくれる場合もあるという(※)。ししゃもやしらすなどの丸ごと食べられる魚や缶詰などの加工品、粉末の出汁パックを使用するのも手だ。魚を日々の生活に取り込む方法は、案外たくさんある。そして本書内には、お財布にも配慮し、お高くなりがちな料理を安くおいしく作る方法も。

(※)スーパーで購入できる商品なら無料で捌いてくれるケースも多い。

「カニ雑炊」&「カニ玉風あんかけ卵焼き」を作ってみた!

 魚介で人気が高く、でもあまり気軽には買えない食材のひとつに「カニ」がある。缶詰ですら普通に買えば安くて500円程度するのが一般的で、身がそのまま入っているものはさらに高い。だが業務スーパーには、300円程度で手に入る「ワタリガニの缶詰」が売られているそう。こうした安いカニ缶を使えば、カニ料理がぐっと身近な存在になる。

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カニ缶は、サラダに添えたりマヨネーズと和えたりするくらいしか活用していなかったが、こうしてカニとして調理する手があるのか……!

 早速「カニ雑炊」と「カニ玉風あんかけ卵焼き」を作ってみたところ、缶詰なので殻をむく手間もなく、2品合わせて30分もかからなかった。画期的! 作り方はどちらも簡単。「カニ雑炊」は、鍋に昆布を入れて出汁を取り、カニ缶を汁ごと、冷やごはん、溶き卵を入れて加熱すれば完成。最後に三つ葉とねぎを散らす。「カニ玉風あんかけ卵焼き」は、卵とカニ缶、青ねぎを混ぜた卵液で卵焼きを作り、カニカマ、水、鶏がらスープの素、醤油、酢、水溶き片栗粉を混ぜたあんをかければ完成だ。

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 雑炊は、ふわっと優しいカニの風味が広がる本格的な味わいで、三つ葉の爽やかさが良いアクセントになっている。余ったごはんがこのレベルの雑炊に早変わりするのだから、今後はぜひともカニ缶を常備品に加えたい。

 卵焼きは、カニ缶とカニカマをダブルで使っているため味はしっかり。とろりとした甘酢あんも相まって食が進む、ごはんのおかずにぴったりの一品に仕上がっていた。筆者はうっかり一般的な卵焼きを作ってしまったが、本書ではカニ玉のような一枚の卵焼きとして作られている。でもこれはこれで食べやすくてアリ!

 このほかにも、タコやイカ、貝類、シーフードミックスなど幅広い魚介を活用したレシピが各回で紹介されている。また、各話の間に挟まれているコラム部分では、「旬魚のごちそう帖 春夏秋冬」や、『三十代 ピンピンころりが目標です』で描かれている「お米と食事バランス」「はじめての人間ドック」などの魚以外の健康面に関する内容も。

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糖質制限が一般的なダイエット方法のひとつとなっている今、「主食6割」はなかなかにインパクトが強い……。ちょうどダイエット中の筆者としてもとても気になった。

 本書を読んで、魚料理がぐっと身近なものになった気がする。平均寿命が延びている今だからこそ、健康な体で長く生きることにもっと目を向け、常日頃から無理なく少しずつ気をつけていきたい。

調理、文=月乃雫

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