“食べない子”が“楽しく食べられる子”に変わる言葉とは? 偏食や少食の子どものお悩みをマンガで解説

マンガ

公開日:2024/4/21

マンガでわかる 食べない子が変わる魔法の言葉"
マンガでわかる 食べない子が変わる魔法の言葉』(山口健太/辰巳出版)

 食は生命の源であり、体をつくる資本でもある。成長期の子どもにとっては特に大切な食だが、わが子があまりにも少食だったり好き嫌いをしたりすると、親としては心配になる。“食べない子”の親は食材や料理、食卓の雰囲気や環境を工夫したりするも、涙ぐましい努力が報われるとは限らない。

 そんな“食べない子”をもつ親に朗報だ。「言葉がけ」で“食べる子”に変わる魔法のようなコミック『マンガでわかる 食べない子が変わる魔法の言葉』(山口健太/辰巳出版)が発売された。

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 本書の主人公ユミ(31)は、5歳の娘ミオをもつ母親。ミオは2歳を過ぎた頃から好き嫌いが増え始め、ユミにとっていまやミオの食事が一番の悩みとなっている。そんな折、ユミの前に突如現れたのが、3000人以上の“食べない子”のアドバイスを親に伝えてきた食育カウンセラーの著者・山口健太氏。ここから、山口氏が“食べる子”に変わる「魔法の言葉」を教えていく、というわかりやすいストーリーだ。

 突然だが、本書より5問のクイズを出題する。次について、イエスかノーで考えてもらいたい。

1 食欲は「空腹だから」わき上がるもの?
2 好き嫌い(偏食)は子どものわがまま?
3 好き嫌いをしていると栄養失調になる?
4 苦手な食材は成長とともになくなっていく?
5 食べないものは食卓に並べない方が良い?

 意外にも、答えはすべてノー。「食べなさい」などの言葉によるストレスで食欲がなくなることがあるし、好き嫌いは単純に「わがまま」で片付けてはいけない問題だし、それで栄養失調になった子どもはいないし、苦手な食材が成長とともに減らない場合もあるし、食べないものが食卓に並ばないことで、自分なりのタイミングで挑戦する機会が失われることもある、という。

 そこで、「魔法の言葉」が登場する。この言葉は親子のコミュニケーションの中で伝えられるのだが、著者はユミに「今日からは調理の工夫は必要ありません! 親子のコミュニケーションを工夫すれば“食べない子”が“楽しく食べられる子”に変わります!」と説明する。それを受けてユミは、わが子の食に悩む読者を代表するかのように「それで済むなら苦労しませんよ」と困惑する。

 しかし、科学的根拠をもって親子のコミュニケーションと「魔法の言葉」の説明がなされると、なるほどと納得してしまう。本書で紹介される根拠の一つが、人には「一貫性の法則」があるという論。本書いわく「人は自分で決めたことを守りたがる」。たしかに、人から押し付けられた決まりはいやいや守るか、あるいは何かと言い訳をつけてすこしずつはみ出すようなことがあるかもしれない。しかし、自分で決めたことは「守りたい」思いから、辛くとも守りやすいように思える。

 この「一貫性の法則」を“食べない子”に用いるなら、次のような言葉がある。

「どれくらい食べる?」

 こう、あらかじめわが子に聞き、子どもが自分で食べる量を決めるようにする。これは、食べる量に限らない。「何時になったらごはんにする?」「何時から食べる?」などと問う食事の開始時間、お菓子を食べるタイミングなどにも活かせる。

 本書はこのほかにも、子どもの食材への興味を引き出す「◯◯って知ってる?」、クイズ形式にする「いつもと違うところが2つあるけど分かる?」など、数多くの魔法の言葉を紹介している。全く口をつけようとしない子どもに対して「ひとくちは食べなさい」ではなく「ペロッとしてみたら?」「匂いだけ嗅いでみたら?」「どれが苦手そう?」と言い換えるなど、よく使いがちな声かけのビフォー・アフターが一覧になった「声かけ変換表」も、親の大きな力になりそうだ。

 ちなみに、本コミックの原作となっている2020年に刊行された『食べない子が変わる魔法の言葉』(山口健太/辰巳出版)は、すでにダ・ヴィンチWebでブックレビューが公開済みだ。

【好き嫌いの多い子にかける「魔法の言葉」とは。食べない子を上手に導くコツを知ろう】
https://ddnavi.com/review/595279/a/

 併せて読めば、さらに「魔法の言葉」の理解が深まるはずだ。

文=ルートつつみ@root223

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