ほめるとつけあがるはウソ!?  理想の上司になるために必要なこと

ビジネス

公開日:2018/2/19

『短くても伝わる対話「すぐできる」技法―働く人を育て組織力を最大にする』(森下裕道/大和書房)

 1人でも部下をもつ人に質問です。あなたは部下とどのように接しているだろうか。部下からナメられたくないばかりに、部下の名前を呼び捨てにしたり、バカにされないように力で抑えつけたりするのは「ダメ上司」。部下たちの心はあなたのもとからどんどん離れていくだろう。

 組織の中での「求心力」や部下からの「信頼感」を得たいと思っているあなたにおすすめなのが、『短くても伝わる対話「すぐできる」技法―働く人を育て組織力を最大にする』(森下裕道/大和書房)だ。本書では、デキる上司に必要な「ほめる技法」「聞く技法」「育てる技法」、「叱る技法」など、部下との対話に焦点を当てたスキルの数々をみなさんに紹介している。

■「ほめるとつけあがる」は反感を呼ぶ

 部下はほめればほめるほど伸びるという。なかには部下がつけあがって怠けてしまいそうだからほめないという方もいるだろう。しかし、ほめられて調子に乗っているときの方が、作業効率もアップして楽しく仕事に取り組むことができるという。「ほめるとつけあがる」という考えを捨てて、「ほめると作業効率が上がり、職場にいることが楽しくなる」と心にとめておくことが、あなた(上司)が部下からの信頼を得る第1歩だ。

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■「どうやってほめるか」も重要

 著者は、ただほめるのではなくほめ方も重要と説く。多くの「上司」が、言葉に感情がこもっていなかったり、ほめる相手の目を見ていなかったり、嫌味っぽくほめてしまったりしているという。たとえば、「今日はよかったじゃん」と言われると、「今日は」よかったのなら、いつもはそれほどでもないのだと思ってしまうもの。そこで著者は「今日はよかったじゃん」ではなく、「今日もよかったじゃん」とほめることを提案している。ポイントは、「感情をこめて、笑顔でほめる」「相手の顔を見てほめる」「相手をやる気にしたいのだから、否定語などを嫌味ったらしく言わない」ことだ。

 さらに著者は、「さりげないほめ言葉が効果抜群」だという。たとえば、部下のデスクの前を通り過ぎる際に、ちょっと立ち止まり作成中の書類を見て「お、スゲー」と独り言のようにつぶやいてみる。すると部下は、「上司の心の中の本心がもれている」と感じ、俄然やる気がでるものだ。

 本書には、ここで紹介した「ほめる技法」以外にも、職場の信頼の勝ち取り方や相手の関心事を聞き出す方法、自分の考えで動くように育てる方法、成長につながる叱り方など、いまのリーダーに必要な手腕の身につけ方が満載だ。どのような職種についているかによって、必要とされている能力はさまざまに異なっている。しかし本書で紹介されているリーダーシップは、どんな職種のリーダーでも最低限身につけていなければならない「必要条件」ばかりだ。本書を読み実践することで、自分が「若い頃に憧れていた上司像」になれる日がきっと来るだろう。

文=ムラカミ ハヤト