3秒で名作あらすじ(関西弁)! ドストエフスキーの『罪と罰』もサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』も “知ったかぶり”!

文芸・カルチャー

2018/7/19

『世界名作“ひとこと”劇場 読んどけばよかった、でもきっと読まない、名作文学の短すぎるあらすじ101選』(ジョン・アトキンソン:著、川合亮平、東 佑亮:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)

 学生の頃、もっと海外の名作を読んでおけば良かった…。「これなら薄いからいける!」と手に取ったけれど、結局投げ出してしまった…。忙しくて原作を読む時間はないけど、読んだふりをしておきたい。 そんなわがままな思いにするりと答えてくれる『世界名作“ひとこと”劇場 読んどけばよかった、でもきっと読まない、名作文学の短すぎるあらすじ101選』(ジョン・アトキンソン:著、川合亮平、東 佑亮:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)が話題だ。

 本書は、ゆる~いイラストとなぜかオール関西弁翻訳でぶった切るという、斬新な最短あらすじ集。それゆえ、難解な西洋文学史の大著・名作でさえも、わずか3秒で知った気になれる優れものだ! そして、『マクベス』『ライ麦畑でつかまえて』『聖書』『老人と海』など、かなりバラエティに富んだ101作品が登場する。それらのあらすじ(?)を読み進めるほどクセになり、物語の断片を知っている作品であれば、そう来たか! とツッコまずにはいられない、非常に中毒性のある1冊なのだ。

 ではいったいどんな内容なのか、ここで少し紹介しよう!

あの男の子、難しい子やわ。
文句ばっかりや。よう言わんわ。
ほれ、あの赤い帽子かぶってる子や。
J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』

お~ロミオ。あなたはどうして……
そんなに早とちり?
ウィリアム・シェイクスピア『ロミオとジュリエット』

人 vs クジラ。
いや、クジラが勝つにきまってるやん。
ハーマン・メルヴィル『白鯨』

殺人犯が自白して投獄されるねん。
ほんでな、檻のなかで「気楽でええわ~」ってなりはる話。
フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』

“君主になりたい人のためのハウ・ツー”やわ。
まあ、簡単に言うたら、
“とにかく、いてまえ!”ちゅうこと。
ニッコロ・マキャヴェッリ『君主論』

「世界の名作をこんなに楽しくまとめてしまっていいのか…」と、一瞬驚かされるかもしれないが、それでいいのだ。楽しく、クスッと笑いながら、どんどん世界文学に触れられるのがこの本の魅力。もちろん「あ~なるほど!」「面白いじゃん!」と思えたら、原作に手を伸ばしてみるのも一興。

 そもそも何で“関西弁翻訳”なのだろう? 訳者の川合亮平氏は次のように語る。「直訳では伝わりきらない原文が醸し出すおかしみを、如何にして表現するか、というのが今回の翻訳作業の最重要工夫点となったように思います」。いたって真面目な回答だ…。一見、ふざけているようで実は、関西弁翻訳にそんな思いが込められていた。その精神がこの本のユニークさを生み出しているのかもしれない。

 確かにノリのいい関西弁だからこそ、たった一言ずつなのにすっと内容が伝わってくるし、ジョン・アトキンソン氏のゆるくて可愛いイラストと関西弁が妙にマッチしている。何より世界文学入門しやすい。そばに置いておけば、どんな内容だったっけ? と振り返りたいとき、ちょっとした答えあわせをするのにも使える。サクサク読めて止まらない新感覚あらすじ(?)集で、あなたも世界の名作を読んだ気になってみよう!

文=アサトーミナミ